2018年12月18日 公開
2023年01月12日 更新
<<アイドルから経済、政治まで、おたく文化に通じた社会評論家の岡田斗司夫氏。同氏は、自著『ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く』で、デジタル化と人工知能の成長が加速すると、2028年には私たち一般人に残された仕事はもはや「ない」と同氏は語っている。
さらには、子どものなりたい職業の上位にランクインするYouTuber(ユーチューバー)も近い将来「消滅する」という衝撃の予測を立てている。
その大胆な予測の根拠を述べる一節を同書から紹介する。>>
※本書は岡田斗司夫著『ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く』(PHP新書)より一部・抜粋編集したものです
ユーチューバーに憧れる子供が増えているそうです。日本FP協会が実施した小学生の「2017年度 『将来なりたい職業』ランキングトップ10」によれば、男子児童の6位は「ユーチューバー」(2016年度は14位)。ソニー生命保険の「中高生が思い描く将来についての意識調査2017」では、「男子中学生が将来なりたい職業」の3位が「ユーチューバーなどの動画投稿者」となっています。
人気ユーチューバーは、有名タレントのような扱いを受けるようになっています。例えば、はじめしゃちょーさんが、同じ事務所のユーチューバーやファンの女性と二股、三股交際をしていると告発されて炎上、謝罪動画を公開する騒ぎになりました。また、ヒカルさんというユーチューバーがVALUというサービスを悪用したとして炎上。ほかにもたくさんの炎上事件がありました。
「ユーチューバーになって、芸能人みたいに注目されたり、チヤホヤされたい」、「俺はユーチューバーになるぞ!」なんて思っている人はまだまだ多いでしょう。
では、10年後にユーチューバーはどうなっているでしょうか?
僕らは「ユーチューブというのは誰でも動画を投稿できるサービスだから、無名な人間でも実力次第で上がってこられる」と、無邪気に信じていました。だけど、そうやって人気者になったヤツらが次から次へと不祥事を起こしている。「無名からのし上がってきたユーチューバー」に対する好感度は、著しく下がっています。
それで何が起こるかと言えば、すでにある程度知名度を得ている人たちがユーチューブに流れてくるんです。
アイドルや芸人にとってテレビやライブ会場というのは、特別なステージです。そういう場で活躍できる自分に、彼らは強いプライドを持っている。
だけど、アイドルや芸人がテレビや舞台で目立てるチャンスは、どんどん減っています。テレビの視聴率は軒並み下がっているし、「ひな壇」のその他大勢になったところで、上には行けない。運良くテレビで少々顔が売れても、安心なんてできません。番組が打ち切られたら、あっという間に活躍する場がなくなってしまいます。
アイドルにせよ芸人にせよ、テレビへのこだわりは少なくなっており、アマゾンやネットフリックス、アメーバTVなどネットへの露出を増やし始めています。日本人ユーチューバーの市場も、これから2、3年でアイドルや芸人に荒らされることになるでしょう。
そして10年以内には、日本人ユーチューバーの市場がグローバルユーチューバー、例えばハリウッド俳優やセレブに荒らされることになります。
世界的な知名度のあるセレブに加えて、「面白いものをパクろう」と待ち構えている数億人、数十億人。
さらに、サバンナやジャングルに暮らす部族の人たちも、秘境の映像を毎日配信してくるわけです。そんなレッドオーシャンで、日本人ユーチューバーが存在感を示すのは、ちょっと難しいんじゃないでしょうか。
更新:11月22日 00:05