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数学はアートを創造できるか?世界的権威が語る展望

2018年12月06日 公開
2023年01月13日 更新

マーカス・デュ・ソートイ(オックスフォード大学数学研究所教授)

マーカス・デュ・ソートイ

AIはアートを創造できるか

――次のテーマは何でしょうか。やはりAI(人工知能)ですか。

ソートイ そのとおりです。機械が運転する自動車が出てくるでしょうし、AIは医者よりも健康データを分析する能力が優れているでしょう。私は、自分の脳をスキャンしてもらって問題があるかどうか調べてもらう際、人間ではなくAIのほうを信用するでしょう。

他方、機械が絶対にできないことの1つは、美しい音楽や感動する音楽を作曲したり、小説を書いたり、思わず息をのむようなアートを創造することだといわれています。

しかし、本当にそうなのか。それらの美的感性にもアルゴリズムが関係しているのではないか。それで次回作は、アートは科学をどれくらい超越するものであるのかを探索しています。

――音楽の旋律には間違いなく数学的規則性があります。ドレミファソラシドという音階も、数学に基づいていますね。

ソートイ そうです。数学は多くのクリエイティビティを内包しています。そうであれば、AIは人間が特有だと思っているものに、どこまで近づくことができるのか。

私は、マシン・ラーニング(機械学習)が社会にもたらすインパクトを調べる王立協会の委員会のメンバーですが、それが契機となって「創造」ということに興味を掻き立てられました。

AIが意識を獲得することができるか、という問いは、AIがアートを創造できるかどうかに深く関係していると思います。

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