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ドイツ「インダストリー4.0」の衝撃、日本政府もイニシャチブを発揮せよ

2018年11月20日 公開
2018年11月20日 更新

熊谷徹(在独ジャーナリスト)

日本政府に求められる強力なイニシャチブ

日本の大企業は、IoT技術の導入、新ビジネスモデルの開発へ向けて着々と作業を進めている。だが日本でも企業の約99%は中小企業であり、ドイツ同様に「匠の技」を武器にしてニッチ分野で高い競争力をもつ企業が少なくない。

わが国の中小企業が抱える弱点は、大企業に比べてIT投資が遅れていることだ。このままでは、デジタル化に関して大企業と中小企業のあいだの格差が拡大する恐れがある。

日本の製造業界で重要な役割を果たしている中小企業の競争力がデジタル化によって損なわれるとしたら、日本の国益に反するのではないか。

日本の中小企業の経営者たちと話すと、「国際標準が決まっていないので、どのように投資したらよいかわからない」とか「データ保全や知的財産権の保護に不安がある」という声を聞く。

ドイツの中小企業経営者が抱いているのと同じ悩みだ。日本でもドイツのPI4のような推進団体が、技術伝達や実験施設の斡旋などによって中小企業支援を行なうべきではないか。

日独の関係者らによると、ドイツが2011年にインダストリー4.0を発表したあとの日本政府の反応は、中国や米国に比べるとはるかに鈍かった。製造業界のデジタル化がわが国の経済に及ぼす影響を理解するのが遅れたようだ。

私は日本の製造業界が21世紀にも優位性を維持するためには、日本でも、政府の強力なイニシャチブに基づくIoT推進団体を創設し、国がIoT普及に関してもっと強力な指導力を発揮するべきだと考えている。

※本稿は『Voice』2018年12月号、熊谷徹氏の「インダストリー4・0の最終目的地」を一部抜粋、編集したものです。

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