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長濱ねる「本と向き合うことで"素の自分"を取り戻せます」

2018年10月11日 公開
2022年06月08日 更新

長濱ねる

歌詞を大切にして、届けていきたい

――所属されている欅坂46は、激しいダンスパフォーマンスだけでなく、メッセージ性が強い歌詞も評判です。これまでの話から、長濱さんが「日本語」や「言葉」を大切にされている印象を受けましたが、歌詞についてはどう向き合っているのでしょうか。

長濱 言い方が難しいのですが、欅坂の歌詞は(プロデューサー兼作詞家の)秋元(康)先生がグループの現状や雰囲気、さらには問題をふまえて当て書き(演者を予め設定して作品をつくる)してくださっているような感覚になる曲ばかりなんです。

たとえば、「風に吹かれても」という曲では、「なぜ奇跡的なチャンスを見逃してしまうんだろう? 時が過ぎて振り返ったらため息ばかりさ」という歌詞があります。私はこの歌詞を見たときに、「自分たちはいろいろなチャンスをいただいているのだから、その一つひとつにちゃんと向き合わないといけない」とあらためて考えさせられました。

また、その次のシングルである「ガラスを割れ!」の「俺たちはもう犬じゃない」という一節からは、私たちも結成四年目を迎えるので、自分たちを高めるためにしっかりと意見をぶつけ合わないといけないと気付かされました。

――自分たちが置かれている環境に応じて、秋元さんからのメッセージも変わってきているのですね。

長濱 その意味では、秋元先生が私たちを導いてくれる「手紙」に近いのかもしれませんし、私にとっては素直に歌いやすい歌詞です。

アイドルというとキラキラした笑顔の多い曲をイメージされるかもしれませんが、欅坂の曲は「大人は信じてくれない」や「語るなら未来を…」というタイトルの曲もあるように、明るい曲ばかりではありません。私にとっては悲しい気持ちの方を勇気づけるというよりは、元気のない方に寄り添って、真横で話を聞いたり、共感したりするイメージなんです。そうして、一人でも多くの方に「悩んでいるのは自分だけじゃないんだな」と感じてもらうことで、元気を取り戻してほしいと思っています。

――欅坂46にとって、そして長濱さんにとってはそれだけ歌詞が大切なのですね。

長濱 欅坂のライブでは必ずスクリーンに歌詞が出ますし、ダンスの振付も(振付師の)TAKAHIRO先生が一つひとつの歌詞に沿って忠実につくってくださっています。私自身、アイドルであることに誇りを感じると同時に、歌詞を多くの方に届けるツールでもありたいと思っています。

そんなお仕事をするうえで自分に活力を与えてくれるのが、私にとっての読書なんです。本と向き合うことによって「素の自分」を取り戻せますし、気持ちを切り替えることだってできる。そして、そんな本との出会いを与えてくれる素敵な場所が、本屋さんです。

これからも一読者としていろいろな本から力を蓄えて、アイドルとして1人でも多くの方を元気づける活動をしていきたいです。

 

(本稿は『Voice』2018年11月号、長濱ねるさんの「読書は『心の休憩』」を一部抜粋、編集したものです)

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