――新聞やテレビからは、中国社会や経済の実態は見えてきません。その意味で、『中国潜入バイト』は、西谷さんのフラットな視点を通して、中国の真実、中国人の本音を理解するうえでとても役立ちます。そこで、中国経済や中国社会をさらに深く知るうえで、西谷さんオススメの本を3冊教えてください。
【西谷】最近読んで勉強になったのは、『八九六四 「天安門事件」は再び起きるか』(安田峰俊著、角川書店)。「天安門事件」を軸に、香港の本土(独立)派や、民主化運動の亡命者など60名もの取材を通して、当時の中国の巨像が浮かび上がってくる大作ノンフィクションです。いまでも中国では、6月4日になると治安維持が強化され、異様な空気に包まれます。この事件が中国に何をもたらしたか、本書を読めばわかると思います。
2冊目は『言ってはいけない中国の真実』(橘玲著、新潮文庫)。「中国は人が多すぎる」というシンプルな事実を軸に、かの国の本質を読み解いています。筆者が旅行者の視点で中国各地をまわりながら考察しているので、実際に見聞きした見聞をもとに中国のいまがわかる一冊になっています。中国の独特な国家体制や国民性を理解するのに役立つでしょう。
上海の寿司屋で働いた際に、同僚たちに「食肉問題についてどう思う?」と聞いたところ、まったく興味がないという態度でした。中国は広すぎる国土と多すぎる人口のため、国家としての一体感をもちにくく、自分に直接関係しないことはどうでもいいというメンタルになりがちのようです。
3冊目に選ぶのが、『「米中関係」が決める5年後の日本経済』(渡邉哲也著、PHPビジネス新書)です。米中両国の貿易摩擦の背景と今後を予測した内容が中心ですが、中国経済の実態についても参考になる点が多い。とくにネット関連サービスのテンセントや、百度(バイドゥ)の興隆と今後の展望や、国家政策としてEV(電気自動車)に注力する理由もわかりやすく解説されています。
――中国の過去、現在、未来がわかる3冊ですね。後編では、中国社会、中国経済の現状について、さらに深い話をお聞きします。
<後編につづく>
更新:11月21日 00:05