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猪瀬直樹 加熱式たばこで何が悪い

2018年05月24日 公開
2022年10月13日 更新

猪瀬直樹(作家/元東京都知事)

たばこはコミュニケーションの「間」をつくる

――ご執筆中も、加熱式たばこを吸われているのですか。

猪瀬 やはり先ほどの2つ、プルーム・テックとアイコスを併用しています。僕のような物書きにとって、たばこは執筆のリズムや「間」をつくるために必要なもの。

「たばこは文化である」というのは嘘でも強弁でもなく、たとえば映画を見ても感じます。欧米の映画作品では、場面転換や閑話休題のシーンでよくたばこが出てきます。文字どおり一服して、物語の「間」をつくるために喫煙の場面を入れている。人間の自然なコミュニケーションには「間」が不可欠だということです。ところが日本の映画やテレビは最近、喫煙シーンを極力映さないように規制している。いかに文化について無知か、よくわかります。  

取材や打ち合わせで人と会うにしても、やはり「間」が大切。いくら電子メールやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)が発達しても、対面のコミュニケーションは必要です。でもその際、フェイス・トゥ・フェイスで相手と視線を合わせたまま話し続けるのは不自然だから、どこかで間を置く必要がある。その際、コミュニケーションの間をつくるのがたばこです。  

僕が子供のころ聞いて上手だな、と思ったのは「たばこは動くアクセサリー」という表現。たしかに動作のあいだも手に取って一服すれば自然に振る舞えるし、喫煙者同士であればコミュニケーションが円滑になる。相手がたばこを吸わない人であっても、加熱式たばこを吸うのであれば迷惑が少ない。いったい何が悪いというのでしょうか。

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著者紹介

猪瀬直樹(いのせ・なおき)

作家/東京都副知事

作家。1946年、長野県生まれ。1987年『ミカドの肖像』で第18回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。『日本国の研究』以降、特殊法人等の廃止・民営化に取り組む。小泉内閣で道路関係四公団民営化推進委員会委員、地方分権推進委員会委員等を歴任。2007年より東京都副知事。近著に、『言葉の力』(中公新書)がある。

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