2016年02月21日 公開
2023年01月12日 更新
そもそも、占領地の女性を強制連行して売春を強要した事例では、どちらかというと、ドイツ軍のほうが罪が深い。軍が強制売春に大々的に関与していたことを証明する命令書も残っている。生き残りの証言をまとめた研究もある。
ところが、ドイツではホロコーストの罪があまりにも大きかったため、慰安婦など問題にさえならない。それどころか、ナチを弾劾し、ひたすら謝罪しつづけるうち、ドイツ人は「ナチとは違う自分たち」を救っただけでなく、いつの間にか、モラルの高い立派な国民ということになってしまった。すごい裏技だ。
安倍総理は、これを見習おうとしたのかもしれないが、日本とドイツには大きな違いが1つある。日本にはホロコーストなどなかった。
しかも、今回の合意が本当に国益になるのかどうかさえ怪しい。アメリカの狙いは対中政策よりも、日本に韓国の経済を助けさせるということではないか。韓国経済の低迷で困るのは、多くの資本を投下しているアメリカだ。しかし、たとえまた日本が韓国経済を救うことになったとしても、日韓関係の真の改善には、あと二百年ぐらいかかるのではないだろうか。
そんなことを考えながら迎えた新年だったが、大晦日にケルンで、1000人以上の難民による集団性的犯罪と窃盗が起こったことが、4日もたってからわかった。しかも、この事件を当局とメディアが隠していたとして大きな問題になっている。
被害者はすべて女性で、ケルンだけで被害届は760件以上。その後の調べでは、他の都市でも同じようなことが起こっていたという。以来、ドイツ人の難民に対する感情が大きくマイナスに傾いている。
去年ドイツでは難民申請者が110万人を超えた。メルケル首相の「難民ようこそ」政策を支持する国民は、いま、急激に減り、EUでも、ドイツが主導しようとする難民政策に同調してくれる国はほとんどなくなってしまった。さらにテロの恐怖もあるので、EUは不穏の一言だ。いつも年末年始はヨーロッパで過ごす友人夫婦が、今年は来なかった。ヨーロッパが「危険な国」になるなんて、いままで誰が想像しただろう。
メルケル首相の足元は大揺れ。ドイツの、そしてEUの前途は厳しい。
更新:11月22日 00:05