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元テレビ朝日ワシントン支局長が解説 「経済安全保障」で日本企業はどう動く?

布施哲

地政学リスクが高まる中、「骨太の方針2024」でも重要課題とされる経済安全保障。元テレビ朝日ワシントン支局長で、現在はNECのシンクタンクに所属する布施哲氏が、企業の視点から経済安保策のリスクとチャンスを説く書籍『日本企業のための経済安全保障』が発売される。

 

「経済安全保障推進法」が示す2つの方向性

日本企業のための経済安全保障

本書の背景にあるのは、2024年5月から運用が始まった「経済安全保障推進法」だ。同法では、先端技術の官民研究、特許非公開、重要物資の確保、基幹インフラの安全確保に関する4つの制度が創設された。

布施氏によれば、その骨子は「戦略的自律性」と「戦略的不可欠性」の2点。つまり「他国に過度に依存しない自律性を確保すること」と、「先端技術で国際社会に不可欠な存在になること」が経済安保の目的だという。

 

米中対立の "火種" となる先端技術

近年、地政学リスクが高まる中、米中対立も深刻さを増している。米国は中国との経済関係を維持しつつ、半導体やAIなどの先端技術分野では厳しく規制を強化しているのだ。

「中国はAIやEV用電池などで、米国や日本の技術力に迫りつつある。米国は同盟国とその企業にまで、対中輸出規制を求めている」と布施氏は指摘する。また高性能カメラなどの先端技術は軍民両用となってきており、「軍事産業以外の企業でも、いつ規制や制裁の対象になるかわからない」と警鐘を鳴らす。

 

「守り」から「攻め」の経済安保へ

経済安保は守りの要素が強いが、布施氏が提唱するのは「攻めの経済安全保障」への転換だ。

「米国が中国企業を排除した先端半導体や監視カメラの分野は、日本企業にとって市場シェア拡大のチャンス。『攻めの経済安全保障』の視点があれば、リスクをチャンスに変えられる」

本書では、そのための経営戦略として、「ロビー活動」や「戦略的コミュニケーション」などの具体策も紹介されている。

 

「アメリカシフト」の潮流をリアルタイムで発信

基盤と半導体

布施氏は、テレビ朝日の政治部記者として、20年以上にわたり米国政治や安全保障を取材。その間に防衛大学校総合安全保障研究科も卒業した、国際政治と安全保障の専門家だ。

「現在は企業現場の視点から、世界市場における『アメリカシフト』の潮流をリアルタイムで発信している」という布施氏。本書は、地政学リスクと経済安保の最前線からの警鐘であり、処方箋でもある。
PHP研究所は、「発表間近の『骨太の方針2024』でも重要課題とされる経済安全保障について、第一線で活躍するジャーナリストの視点から企業戦略のヒントを提示する一冊」と話している。
 

Voice 購入

2024年12月

Voice 2024年12月

発売日:2024年11月06日
価格(税込):880円

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