2018年05月14日 公開
2018年05月14日 更新
「知られざる優良企業」──この言葉がまさにふさわしいのが㈱トリコだ。半導体製造装置や液晶製造装置、コンピュータシステム関連機器の修理及び部品の販売を手がけており、今年、創業46年目を迎える。創業以来好業績を続け、現在も10%配当を実現している。
「創業は1973年。当時は欧米から最新の電子部品を輸入するビジネスを手がけていました。とくにコンピュータ界の『巨人』と呼ばれたIBMと関わりが深く、私はMの部品の七ケタの品番をすべて覚えていたほどです」
こう話すのは、㈱トリコの創業者であり、現在でもCEOとして活躍し続ける鳥塚祐三氏。当時、日本のコンピュータメーカーは欧米に追いつこうと必死で、鳥塚氏の知識と経験は多くの企業から重宝されたという。
「日本IBM、日立製作所、富士通、東芝、日本電気、三菱電機、沖電気など名立たる大企業に部品を納入させてもらいました。日本のコンピュータ産業の黎明期を支えてきたと自負しています」
株式会社トリコ ファウンダー CEO 鳥塚祐三氏。
日本のコンピュータ産業の黎明期から業界を支え続ける。
各大手企業の経営トップにも深いネットワークを持つ
そんなトリコだが、現在は修理サービス分野が主力となっている。時代の変遷とともにサービスの幅を広げてきたことも、40年以上にわたって好業績を続けてこられた秘訣だ。
「コンピュータの小型化に伴ってニーズが高まってきたICを真っ先に手がけたのも弊社でした。ただ、しばらくすると競合が増えてくる。他社には真似できないビジネスを創出すべく2000年にスタートさせたのが、修理サービスだったのです」
これは、機械部品や半導体・FPD製造装置やその周辺製品の修理を行なうというもので、当時としては非常に斬新な発想だったという。
「修理のプロ」を周知すべく社用車にも社名とともに「製造設備修理プロ集団」の文字が。これも鳥塚氏のアイデアだ
「製造装置が故障した際には、メーカーがユニットごと交換を行なうのが一般的です。ただ、ユニット交換はコストが高いうえ、ユニット内の基盤は産業廃棄物となってしまいます。弊社はその基盤を修理して、再生することを可能にしたのです。これによってコストダウンはもちろん、産業廃棄物の減少による環境への貢献も同時に実現できるのです」
修理可能製品は年々拡大し、より迅速な対応を可能にするため、修理工場を各地に展開。現在、15カ所ある拠点のうち9拠点にて修理対応をしているが、全拠点で対応できるよう準備中だという。
「我々が目指すのは『修理のプロ集団』。我々が作り出したこのビジネスモデルは、他社の追随を許しません」
数年後には上場も見据えているという鳥塚氏。国内外のコンピュータメーカーが頼りにするトリコが開拓した修理ビジネスは、今後もますます拡大していきそうだ。
※『THE21』2017年6月号より、一部修正のうえ転載
更新:11月23日 00:05