ロシアは「全土占領はできない」と理解したが、嫌がらせはいくらでもできる。たまにミサイルを飛ばして、ウクライナの都市や主要鉄道や道路や港湾や発電施設を攻撃するだけで、ウクライナに投資する企業はなくなってしまう。
ロシアと戦って、勝てないまでも手こずらせたウクライナが、幸せな国になることは許せないというのがロシアの本音である。バルト3国もポーランドも幸せな国になった。それは許せない、というのである。ウクライナは、何と嫌な国に目を付けられてしまったのだろうか。
プーチンの言うロシア民族の一体性とは、同じロシア民族の中で、自由で豊かで幸福な国が生まれるのは許せない、ということなのだ。スラブ民族は皆ロシアのように独裁者に支配され、不自由で貧しく不幸であるべきだというのだろう。
しかし、ウクライナが経済発展を実現するいくつかの方法がある。
1つは、NATOに加盟することである。NATOに加盟することは、ウクライナへの攻撃は米英独仏を含む全加盟国への攻撃と見なすということである。ロシアもそう簡単には手を出せない。
あるいは、ロシアがウクライナを攻撃すれば、今まで以上に経済制裁を科し、ロシアの損失を大きくすることである。それができないのであれば、ロシアの攻撃によってウクライナに投資した企業が損害を被れば、国際的に補償する基金をつくることである。
ロシアに対する西側諸国の経済制裁はあまり効果を上げていないのではないか、という議論がある。経済制裁とは、ロシアと西側諸国との貿易を制限することだが、そもそも、お互いに利益があるからこそ貿易をしていたわけで、これを制限すれば当然に相互に利益が減少する。ロシア経済の損害に比べて、西側諸国の損害が意外と大きい場合もありうる。
しかし、ロシアは単独でこの損害を引き受けなければならないが、西側諸国は全体で損害を引き受ければよい。したがって、損害の額が同じでも、ロシアに対するマイナスのインパクトは大きくなるはずである。十分な情報はないが、そのような結果になっていると思われる。
ただし、天然ガスのように代替供給を得るのが難しく、経済のすべてに関連するような財の場合には、西側の損害が大きくなるかもしれない。その場合は、ロシアから天然ガスを輸入した国は、ウクライナに追加的に武器援助をすることを義務付けるのがよいかもしれない。
戦争が終われば、戦後復興が必要となる。経済復興も、自由と民主主義の方法ですることが効果的である。自由と民主主義は汚職を抑え、政府の説明責任を高めて効率的な政府をつくることができる。
更新:11月24日 00:05