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俳優・斎藤工がウルトラマンに重ね合わせる「現代における日本の役割」

2022年05月14日 公開
2022年08月03日 更新

斎藤工(俳優)

 

西島さんは、銀幕スターの代表的な存在

――『シン・ウルトラマン』で禍特対班長の田村君男を演じた西島秀俊さんは、今年3月に『ドライブ・マイ・カー』(2021年)で日本アカデミー賞主演男優賞を受賞し、本作は本場アメリカのアカデミー賞では国際長編映画賞を獲得しました。西島さんとの共演で刺激を受けた部分はありましたか。

【斎藤】西島さんは僕にとって、現代的な銀幕スターの代表的な存在です。アジアの名だたる監督たちとコラボレーションしたり、イランの名匠アミール・ナデリ監督の『CUT』(2011年)で主演を務めたりと、挑戦的な試みを厭わない方ですね。

『ドライブ・マイ・カー』の撮影時の話は、僕が西島さんと共演した『グッバイ・クルエル・ワールド』(2022年秋公開予定)の撮影現場でも聞いていました。どの時代に生きていても映画スターとして活躍されていただろう西島さんと、いまこうして一緒に作品に関われることは本当に幸運です。

――斎藤さんと西島さんは、俳優界のなかでも屈指の映画通である点も共通していますね。

【斎藤】西島さんがどの作品をご覧になったかは、映画界でもしばしば話題になるほどですからね(笑)。ユーロスペース(東京都渋谷区)など、多くのミニシアターに通っている姿もよく目撃されているようです。

僕は西島さんと大河ドラマ『八重の桜』(2013年)で初共演したのですが、その際に初めて声をかけられた言葉は「川島雄三(映画監督)の遺作ってなんだっけ」でした。

僕が『映画秘宝』で連載しているコラムのこともご存知で、「映画をたくさん観てきて、この仕事をしていて良かった」と感じたものです。そんな西島さんの背中をこれからも追いかけていきたいと思います。

 

40代で「ようやくたどり着いた作品」

――最後に、40歳を迎えたいま、これから映画とどう関わっていかれるのか、お聞かせください。

【斎藤】20~30代のころは大きな野望を抱えて過ごしてきましたが、本作に関わったことで、自分のなかのフェーズが変わったような感覚があって。「このプロジェクトがめざすもののなかで、自分がいかに役割を果たすか」という発想に変わったのです。

じつはこれまでに、いまの仕事を辞めようと思ったタイミングは何度かあります。それでも、なぜか辞めずにこられたのは『シン・ウルトラマン』という作品に着地するためだったのかな、とさえ感じます。

いまは自分のなかの「業」のようなものが抜けて、凪のように穏やかな気持ちなんです(笑)。ライフワークである「演じること」「制作すること」以上に、これからは映画をいかにお客さんに届けるか、またミニシアターをどう存続させるかといった活動に注力したい思いがあります。

その意味では、『シン・ウルトラマン』は僕のなかで「やっとたどり着いた作品」なのです。

 

斎藤工『シン・ウルトラマン』2022年5月13日(金)全国東宝系にて公開。[(c)2021「シン・ウルトラマン」製作委員会 (c)円谷プロ]

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