2022年05月13日 公開
2024年12月16日 更新
写真:キムラタカヒロ
今年5月13日(金)、公開前から話題を呼ぶ映画『シン・ウルトラマン』がついに封切られる。企画・脚本は庵野秀明氏、監督は樋口真嗣氏。数々の作品を世に送り出したタッグが再び手を組み、国内外で愛され続けているウルトラマンを新たな視点で描く。
舞台は超自然発生巨大生物「禍威獣(かいじゅう)」の脅威にさらされる日本。立ち向かうのは、防災庁の専従組織「禍威獣特設対策室専従班」、通称、禍特対(かとくたい)だ。個性的なメンバーが集結するなか、作戦立案担当官の神永新二は、「ウルトラマンになる男」でもある。
同作で主人公の神永を演じた斎藤工さんが、見どころや役どころ、さらに自身とウルトラマンにまつわる意外なエピソードについて語る。
<聞き手:編集部・中西史也、ヘアメイク:くどうあき、スタイリスト:三田真一(KiKi inc.)>
※本稿は『Voice』2022年6⽉号より抜粋・編集したものです。
――斎藤さんは、同じく樋口監督がメガホンをとった『シン・ゴジラ』(2016年)にも出演されていますが、本作『シン・ウルトラマン』では主演を務めています。オファーを受けたときはどんな心境でしたか。
【斎藤】驚きましたね。今回のお話をいただいた瞬間から、一映画ファンとしてこのプロジェクトに携われる喜びがあふれてきました。映画少年としての自分の好奇心も湧きたったし、いまでは観客としても劇場で本作を早く観たい気持ちでいっぱいです。
――庵野さんの脚本を最初に読んだときは、どのような感想をもちましたか。
【斎藤】『シン・ゴジラ』に出演したときにも感じたことですが、本作では『ウルトラマン』(1966年)というオリジナルの作品が現代にリブート(再起動)する描き方に、とても惹かれました。『シン・ウルトラマン』では『ウルトラマン』以上に、知的生命体である人間を外星人はどう見ているのか、という視点が盛り込まれていると感じています。
原作には根強いファンがいますし、多くの方がウルトラマン自体はご存知ですから、そうしたある種のフィルターに挑戦する試みといえるかもしれません。それでも、原作をリスペクトしつつ、現代的なエンターテインメントとしても結実させている脚本であり、その点が非常に魅力的でしたね。
――斎藤さんはもともと、原作の『ウルトラマン』にはどのような印象を抱いていたのでしょうか。
【斎藤】じつは『シン・ウルトラマン』に関わる前から『ウルトラマン』とは縁があったんです。幼少期、僕は「シュタイナー教育」という創造性を重視する教育を受けており、家にテレビはなくて娯楽が制限されていました。
ただ、父は映像業界の人間で、キャリアの入口は『ウルトラマン』シリーズを手掛ける円谷プロでの爆破担当のアルバイト。だから、自宅にはウルトラマンや怪獣のフィギュアが置いてあったんです。『ウルトラマン』は僕にとって"創造の起源"といえる作品です。
――思わぬ縁ですね。幼少期、お父様から『ウルトラマン』の魅力について直接聞く機会はありましたか。
【斎藤】いえ、じつは今回の『シン・ウルトラマン』のお話をいただき、父に報告したときに初めて、アルバイトとして関わっていたことを聞かされたんです。
父はそんな調子でしたが、一方で叔父は熱烈な『ウルトラマン』ファンだったので、僕が小学校高学年のときには作品の魅力をよく熱弁されました(笑)。ちなみに、僕が中学2年生のときにテレビで放送されていたのが、庵野さんの『新世紀エヴァンゲリオン』です。
先ほどお話ししたようにわが家にはテレビがなく、リアルタイムで観ることは叶いませんでしたが、作品自体はもちろん知っていました。しかも主人公(碇シンジ)の設定は、当時の僕と同じ中学2年生。そんな子ども時代の記憶の点と点が、今回『シン・ウルトラマン』に携わることで線としてつながったような思いです。
更新:12月27日 00:05