2021年08月10日 公開
――現在のような危機において改革を実行するためには、トップの指導力も重要です。都政のデジタル化の舵取りを担う宮坂副知事が思い描く、在るべきリーダーシップの姿とは何でしょうか。
【宮坂】「シン・トセイ」のようなわかりやすい旗印は、トップダウン型のリーダーシップといえるかもしれません。しかし、最終的には職員全体の意識が変わらなければ意味がない。せっかくデジタル化への機運が盛り上がったとしても、トップが代わったら旧来の体制・マインドに戻ってしまっては、東京都の未来は明るくないでしょう。
テクノロジーによって行政サービスが便利になることで、都民から職員へのフィードバックが増え、それを受けて職員のデジタル化への意欲がさらに高まる。こうした好循環が回っていけば、職員からのボトムアップの提案も増え、組織の空気が劇的に変わっていくはずです。
行政全体のデジタルマインドを高め、カルチャーそのものを変革する。これこそ、東京都がめざす「真のDX」にほかなりません。僕は東京都の行政におけるDXの定義を「都民、職員、基礎自治体の3つの顧客へ情報技術を活用した行政サービスを提供して顧客体験を飛躍的に改善。
リリース後もデータを見ながらQOSを追求する永久運動が行政組織のなかに定着している状態」と捉えています。そのような組織になれるように「シン・トセイ」を推進していきます。
――日本の模範として、東京都の取り組みに注目している自治体も多いと思います。
【宮坂】東京都のみならず日本全体にいえることですが、行政の役割とは、社会の恩恵に与れない人びとを「取り残さない」ことです。これは、僕がヤフーに在籍していたときには意識できていなかった視点で、行政に来て痛感したことでした。
テクノロジーによって行政サービスの利便性が増すことで、デジタルの最前線を走る人はさらに加速し、行政の職員は取り残されそうな人びとに寄り添うことに集中できる。こうした「誰一人取り残さない社会」の実現をめざし、引き続き東京都から改革を推進していきたいと思います。
更新:12月04日 00:05