2021年06月01日 公開
2021年07月29日 更新
米中二つの陣営を分ける大きな基準が、人権を含む普遍的価値観だ。開かれた民主的自由主義的価値観をもつものが米国陣営であれば、閉じられた権威主義的全体主義的価値観が中国陣営である。
とくに米国陣営が重視する人権の価値観の象徴が、いまはウイグル問題ということになる。ウイグル弾圧を国連のジェノサイド条約で定義するジェノサイドであると認定するかどうか。それは、米国陣営と中国陣営のどちらに入るか、という選択に等しい。
米トランプ政権のポンペオ前国務長官がいち早くウイグル弾圧をジェノサイドと認定し、続くバイデン政権も同じ立場に立った。
カナダ下院議会、オランダ下院議会はウイグル弾圧をジェノサイドと認める決議を採択、英国上院はジェノサイドを犯した国との貿易を禁止する貿易法修正案を可決した。
豪議会でも中国の人権侵害を組織的として非難動議が出された。EU(欧州連合)は今年3月に、中国新疆ウイグル自治区の幹部、当局者らに制裁措置を発動させた。これは前身組織時代も含めて30年ぶりの対中制裁となった。
さて、日本だけがいまひとつ曖昧な姿勢のままだ。開かれた民主的自由主義的価値観を守り、中国全体主義的価値観から世界と自国を守るために、米国らと協力することが最善の選択であることは自明だろう。
中国共産党政権によるウイグル弾圧の歴史は長く過酷だった。これほど長引いたのは、国際社会が見て見ぬふりをしてきた責任も当然ある。いま米国と中国の対立構造の成り行きでウイグル問題に光が当たったのは偶然か。
だが、この機を逃しては二度とこの虐げられた民が救われることはなく、消えていくしかない。それは西側社会の価値観が中国の価値観に負けることであり、中国中心の国際社会が再構築されることにつながる。
他人事ではなく、自国の自由と平和と安全のために、日本はウイグル問題において旗幟を鮮明にしなければならないのである。
更新:11月24日 00:05