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「長時間労働を強いられる官僚」を縛り付ける“昭和のシステム”

2021年03月12日 公開
2024年12月16日 更新

河野太郎(行政改革担当大臣)&宮田裕章(慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室教授)

官僚

昭和のシステムのままではいけない

――政治家・官僚のあいだには、アナログでの成功体験が強く、だからこそ抜本的な改革に踏み出せないのではないでしょうか。

【河野】耳が痛い話ですが、私もそう思います。昨年12月、品川にある国土交通省東京運輸支局を視察した際、いまだにほとんどの業務を紙ベースで行なっていました。

目の前のベルトコンベアに書類を載せると次の場所に送られ、そこにいる担当者が処理する。昭和のアナログの時代においては最適なシステムだったのでしょうが、デジタル化にはまったく対応していません。デジタル化を実現すれば必要な人員を減らせますから、代わりに人手が足りていない別の業務に就いてもらうことが可能です。

近年、霞が関の若手官僚の退職増加が問題になっていますが、背景には長時間労働があります。公務員の数は限られているのに書類作業に労力を割かれ、どうしても労働時間が長引いてしまうのです。

もう一つの理由は、単純な事務作業が多く、政策立案といったやりがいのある仕事ができていないこと。任せられる事務作業はAIに担ってもらい、若手官僚は現場に出て、我が国をより良くするための政策を考えてもらいたい。

これまで公務員の定数を削減し続けてきたこともあり、霞が関の仕事が回っていないのが実情です。そうした構造的な課題があるなかで、新型コロナが襲いかかってきた。危機に対応する組織体制の構築が不十分だった点も、我々政治家が大いに反省すべきです。

【宮田】LINEの調査で一緒に仕事をした厚生労働省も、まさにマンパワーが足りていない状況でしたね。彼らの辛い現状を目の当たりにして、私が外から何かサポートができないかと思ったくらいです。

大臣が指摘されたように、政治家や官僚は、令和の時代になっても昭和の時代につくったシステムに縛られています。1を10にしていくルーチンを日々回さなければいけませんから、これではゼロから1を生み出す余裕はありません。ルーチン作業をデジタルに置換すれば、空いた時間でより本質的な仕事ができるはずです。

 

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