2021年01月13日 公開
2023年04月12日 更新
――「炎」でのLiSAさんの歌いぶりはいかがでしたか。
【梶浦】素晴らしい歌い手であることはわかっていましたが、期待をはるかに超えてきましたね。LiSAさんはもともと、高音から低音までどの音域もパワフルに歌える方です。
今回の「炎」はバラードだったので、パワーのオン・オフの切り替えによって情緒を表現すると想定していたのですが、一つひとつの言葉をあれほど丁寧に歌われるとは思いませんでした。
歌詞の意味や曲調に合わせて、歌声だけではなく息遣いもコントロールしている。相当な分析力とテクニックがないと成せる業ではありません。「炎」のレコーディングをしているときは、その歌声にただただ聴き惚れていましたね。
――LiSAさんとは、テレビアニメ「鬼滅の刃」のエンディング「from the edge」で初タッグを組みました。そのときとの違いはありましたか。
【梶浦】「from the edge」は「炎」よりもテンポの速い曲で、疾走感を見事に歌いこなしてもらいました。どちらの曲も、LiSAさんだからこその良さが出たと思います。
作詞の視点で映画とテレビアニメの違いをいえば、映画はエンディングに入るときのシーンが決まっているけれど、テレビでは回によって異なります。だから映画のほうが歌詞は限定的で、テレビのほうがいろいろなシーンに汎用できるようにつくっています。
――「無限列車編」の音楽は、梶浦さんが手掛けたエンディングの「炎」とともに、椎名豪さんによる劇伴(劇中の伴奏音楽)も話題になりました。
【梶浦】作品の世界観にあった素晴らしい音楽でした。私の音楽は一言でいえば「重い」のですが、それに比べて椎名さんには絶妙なテンポや軽妙さがある。
「鬼滅の刃」の作品としての特徴はまさしく、テンポの速さだと私は思っています。物語には悲惨なシーンがたびたび登場するけれど、駆け上がるように物語が進んでいく。
これは原作者である吾峠さんの良い意味での「若々しい作風」が影響しているのかもしれません。椎名さんの劇伴は、「鬼滅の刃」という作品と絶妙にマッチしていると思います。
――梶浦さんが担当した劇伴として、「炎」の歌詞なしのアレンジバージョンが映画の冒頭に流れますね。
【梶浦】無限列車が走り出して作品のタイトルが映し出されるシーンですね。これから困難が待ち受けているイメージを膨らませて、楽曲をアレンジしました。「鬼滅の刃」の「重いほう担当」として(笑)、観客の皆さんに冒頭のシーンを楽しんでもらえたら嬉しいです。
更新:11月22日 00:05