2020年11月04日 公開
2022年01月13日 更新
私もWebニュースに記事を書かせてもらっている立場ではあるが、ネガティブな記事の方が、ポジティブな記事よりもアクセス数が稼げるのは事実である。特に不安を煽るタイトルや記事のほうがWebニュースでは読まれやすい傾向にある。
定額で購読する紙媒体の新聞とは違い、Webニュースはアクセス数を稼ぐことが主目的になる。編集サイドがネガティブな反対記事を載せたがる事情は、商業目的の媒体である以上、致し方ない。
特に今回の住民投票では、大阪都構想の反対派の意見が矢継ぎ早にWebニュースで連投されたこともあり、以前から周到にメディア戦略が練られていたように思われる。
吉村知事の人気で、押され気味だった反都構想派が、危機感を持ってメディア対策を講じたことが、若い世代の住民投票に大きな影響を与えたことは否めない。
ここで誤解をして欲しくないのは、反対派がメディア戦略を強化したことが「悪い」と言っているわけではない。
一般的な選挙は「人」に票を入れるが、住民投票は「思想」に票を入れる。つまり、人の思想を変えることが、選挙戦で重要になる。
賛成派は吉村知事や松井市長という「人」にフォーカスした一般的な選挙戦を繰り広げたが、反対派はメディアに大量に反対記事を投下することで、反対か賛成か悩んでいる有権者の「思想」を動かした。この戦略の違いが選挙結果にも大きく反映されたのではないかと推測する。
結果論かもしれないが、住民投票という特殊な選挙戦に対して、一般の選挙戦とは違う戦い方をした反対派のほうが、一枚上手だったことは認めざるを得ない。
Twitterの意見はどちらが多かったのかも調べてみた。あまりの多さに10月31日の午前8時26分から59分までの33分間を調査しただけで、力尽きてしまった。
しかし、その短い時間だけでも、賛成43投稿、反対179投稿、中立82投稿と、反対意見の投稿数が圧倒的に多かった。同一人物が何度も投稿しており、一概にはTwitterの数字やハッシュタグの数だけで賛否を判断することはできない。
それでもTwitterに多くの賛成意見を流すことができなかったことは、今回の住民投票の結果に少なからず影響を与えていたように思われる。
なお、YouTubeも10月27日~31日までの4日間を調べてみたが、賛成30、反対37、中立120という結果になった。反対派と賛成派で大きな差がなかった理由は、顔を出してまで賛否を唱えることを嫌った人が多かったのではないかと推測する。
ただ、コロナ禍の影響による、ここ最近の動画検索のユーザー数の増加を考えれば、もしかしたら、動画による情報発信を賛成派が積極的に展開していれば、反対派との差はもう少し詰められたのかもしれない。
大阪都構想に対する不安を一蹴できるほどの情報発信が、ネットを通じてできなかったことが、反対派が賛成派の意見を上回った要因といえる。
更新:11月24日 00:05