2020年09月20日 公開
2023年01月30日 更新
(撮影:中村康伸)
ジャーナリストの小川善照氏は自著『香港デモ戦記』にて、雨傘運動から昨年の香港デモの参加者たちの生の声を集め、2020年春までの香港デモの様子を克明に描き出している。
2020年6月30日に中国による香港国家安全維持法が施行され、中国当局による香港への圧力はさらに強まり世界からの批判を集めているが、それでも香港人による中国への抵抗の姿勢は揺らいでいないのか? 小川氏が「その後」を伝える。
※本稿は月刊誌『Voice』10月号に掲載されたものを一部抜粋・編集したものです。
昨年から行なわれている一連のデモは「香港の時計の針を27年早くしただけ」(一国二制度の終焉、2047年の到来を早めただけ)という、デモのやり方に対しての批判がある。
だが、そうした批判は香港では「事後諸葛亮」と言われている。後知恵での批判だと言うのだ。昨年のデモに後悔はないか、熱心な参加者だった男性に聞いてみた。
「私と仲間はそんな後悔はしていない。後悔しているのは、あのとき、もっとこんなことができたのではないか、という話だけだ。それに、まだ終わったわけではない。また、始めればいいだけだ。雨傘運動が終わって、私たちは4年待った。また、しばらく次のチャンスを待つだけだ」
雨傘運動でも活動していたという現在30代の男性はそう断言した。
「私は、これまでのような積極的な抵抗はできませんが、できうる限りの抵抗は続けます。私はいまも、黄色い店(民主派支持を表明している店)でしか外食しません。大陸系の銀行なども利用しません。
消極的な抵抗かもしれませんが、黄色経済圏(民主派支持の店などで経済を回すこと)をずっと続けます」
彼はほかに、コロナ対策の政府による無料のPCR検査を拒否しているという。DNA情報を警察に提出されると言われているからだ。
「香港政府は、もうまったく信用ができないのです」
更新:11月24日 00:05