2020年06月16日 公開
2020年06月16日 更新
※福岡県宗像市で航海安全や大漁を祈って行なわれる「みあれ祭り」
《福岡市と北九州市の中間に位置し、由緒正しき歴史をもつ宗像市。九州本土唯一の女性市長である伊豆美沙子市長は、アジアの次世代リーダーを生むための教育に注力している。
目指すは、このまちが生み出した偉人・出光佐三の意志を継ぐ「人財」だ。伊豆市長が語る、令和の時代に生き残る人物の条件とは。(聞き手:Voice編集部・中西史也)》
本稿は月刊誌『Voice』2020年7月号、伊豆美沙子氏の「宗像から第二の出光佐三を生む」より一部抜粋・編集したものです。
――伊豆市長は福岡県で初めて、また現在、九州本土唯一の女性市長です。女性活躍推進に注力されるなかで、意識していることはありますか。
(伊豆)まず申し上げたいのは、宗像市は女性だけではなく、あらゆる市民が活躍できるまちをめざしていることです。しかしながら、女性の社会進出が実現しにくい現状にも鑑み、女性の起業支援施設の設置や育成支援事業を実施しています。
必ずしも既存の組織で働くだけではなく、女性ならではの発想を生かしてどんどん起業していただきたいと思います。
――性別や年齢にかかわらず、老若男女が自らの能力を発揮できるまちが理想ということですね。
(伊豆)女性だから家事の負担を担うというのではなく、互いに助け合っていく。妻の仕事が忙しければ、夫が家事や育児に勤しむ。
女性が心置きなく仕事をするには、家での「男性活躍」が重要です。家庭での役割分担が自然なこととして実践されるよう、男女ともに家事教育を徹底していきたいですね。
――九州北部はアジアの玄関口といえますが、宗像市では次世代のリーダーを育てるために、どのような教育を実践しているのでしょうか。
(伊豆)教育・子育てをとくに重視しており、市の総予算のうち事業費ベースで90億円をかけています。宗像では「人材」ではなく、「人財」という言葉を使っているように、子供たちはまちの財産です。
毎年7月には、宗像を舞台に「日本の次世代リーダー養成塾」が開催されています。各界で活躍する一流の講師陣や、全国の高校生がグローバルアリーナ(民間の多目的施設)に集結し、共同生活のなか、講義やディスカッションが行なわれます。
また、新型コロナウイルスへの対応も見極めながら、長期的な視野をもってICT教育の推進にも注力していかなければなりません。
――具体的に、子供たちにどのような人財に育ってほしいとお考えですか。
(伊豆)想像力をもった人になってもらいたいですね。有名大学に進学して大企業に就職しても、安泰な暮らしが保障される時代ではありません。混迷の時代を生き抜くにはどうすればいいのか。既成概念にとらわれず、思いを巡らせてほしい。
将来を見据え、自身で起業することも一つの手でしょう。誰かの大きな傘の下に入るのではなく、自分の傘を差す。そんな自立心と想像力をもった「第二の出光佐三」を生み出したいと思います。
更新:11月21日 00:05