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橋下徹「政治家は“気配”で判断すべきときがある」

2020年04月12日 公開
2023年07月12日 更新

橋下徹(元大阪府知事/弁護士)

政治家に求められるのは結果責任

――一斉休校の判断に対しては、とりわけ専門家やメディアから「科学的な根拠がない」といった批判がなされましたが。

【橋下】それは責任をとる必要がないインテリだから言えることでしょう。「まだ感染が広がっていない段階で一斉に休校するのはどうなのか」との批判的意見も多かったようでしたが、感染の広がりが目に見えたときにピークカット施策を行なっても遅いんです。

結果責任が求められる政治家は、感染拡大の"気配"を感じた段階で人の活動を抑えるイベント自粛や一斉休校などの判断を下さなければいけない。

そもそも、新型コロナウイルスは未知の部分が多いため、明確な科学的根拠を完全に割り出すのは難しい。一斉休校の効果は、数年後に検証してみて初めてわかることです。

もしかすると「効果はなかった」となるかもしれませんが、それを恐れて一斉休校をせずに、感染が爆発的に広がって取り返しのつかない結果になってしまうことだけは絶対に避けなければなりません。

僕も大阪府知事だった2009年、新型インフルエンザの流行に対するピークカット施策の一環として府内の学校を一斉休校にしました。そのときも学者やメディアから「科学的根拠がない。学校現場や保護者が混乱する」と大バッシングを受けた。

でも1年後に公衆衛生学的に検証してみると、大阪の一斉休校は感染者の爆発的増加を防ぐ効果があったことが明らかになりました。政治家はいざというときには責任をとる覚悟で、"気配"を感じて決断しなくてはならない場面があるのです。

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