2020年03月28日 公開
2022年11月02日 更新
昨年10月の消費増税に続き、新型コロナウイルスによるマイナスで、痛め続けられる日本の国民生活。しかし、安倍政権の対応は遅い。いまやるべきは、感染終息後の景気対策よりも、緊急の経済対策のはずだ。はたして、難局突破の打開策はあるのか──。
※本稿は『髙橋洋一、安倍政権を叱る!』 (悟空出版)の内容を抜粋・編集したものです。
2019年10─12月期の実質GDPは年率マイナス6.3%というひどい状況だった(2次速報値ではマイナス7.1%)。この状況から回復するのはかなり大変である。
2020年1月に可決された補正予算で、消費増税分と同じくらいの4兆3000億円が財政出動されるが、半年くらい遅れたので、その間の落ち込みをカバーするのが大変である。補正予算によって一息つけるが、まだまだ不十分だ。
その後、新型肺炎問題が出てきた。ますます経済環境が厳しくなっているから、補正が切れるとかなり厳しい状況になると予測される。日本経済のさらなる落ち込みを防ぐための処方箋をつくらなければならない。
筆者が考える処方箋は、「国債を発行し、または減税して、大規模な財政出動をせよ」というものだ。
本当は、消費増税が失敗したわけだから、元に戻すのが一番いい。法律上は10%の税率でも、軽減税率制度を使い、「全品目」を軽減税率対象にすれば、増税しなかったのと同じことになる。
政治的にはかなり難しいことだが、新型肺炎という新たなマイナス要素も加わったのだから、全品目軽減税率という大胆な政治決断があってもいいはずだ。
それができないのであれば、超大盤振る舞いをすることである。
財政支出という1本の数直線で考えれば、「増税」はマイナス方向であり、「財政出動」はプラス方向である。「増税」によるマイナスを打ち消すには、プラスの「財政出動」を大量にすればいいということになる。
4兆3000億円を増税で吸い上げ、経済対策で4兆3000億円を吐き出したが、さらに大規模に財政出動する。そうしないと、増税で悪化し、新型肺炎が追い打ちをかける経済状況を乗り越えられない。
5月くらいまでにもう一度、大規模な補正予算を組むかどうかで、その後の日本経済はかなり変わってくる。
マクロ経済政策としては、財政政策ともう1つ金融政策がある。
財政と金融は、実施しているセクターが違うから、両者が違う動きをすることもあるが、歴史を見ると、経済がうまくいっているときは、だいたい両者の動きは似ている。
金融緩和をしながら、財政出動をすると経済はかなり良くなる。その状態に持っていく必要がある。政府は財政出動をし、日銀はさらなる金融緩和を行うべきである。
次のページ
マイナス金利だと、国債を発行すれば国は儲かる >
更新:11月24日 00:05