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【橋下徹】安倍首相は「一斉休校を決めたエビデンスはない」ことを堂々と公言すべき

2020年03月03日 公開
2023年07月12日 更新

橋下徹(元大阪府知事/弁護士)

一斉休校の目的はどこにあるのか

小中高の一斉休校や大規模イベント自粛は、人の活動を抑制し、感染の爆発的増加(ピーク)を抑えることが目的だ。「休校しても満員電車がそのままなら意味がない」と言う人もいるが、企業活動を止めることは日本経済全体をまひさせることになり、それは不可能だ。

政治とは、どちらを選んでも痛みが伴うような状況で、それでも決断をすることだ。今回は、日本国全体での爆発的感染を防ぐために、人の活動をどこで抑制するのかと検討した結果、大規模イベント自粛と生徒・学生の活動を抑制する一斉休校を選択した結果になった。

3月に発刊される新刊『交渉力』(PHP新書)で僕は、「目標を達成するためには、自らの要望を整理し、どこまでが『譲れるライン』でどこからが『譲れないライン』なのかを明確にしなければならない」という旨を書いた。

今回の新型コロナウイルスへの対応策も同じだ。政府の、獲得目標は「ピークカット=全国での爆発的な感染者増加を防ぎ、時間稼ぎをする」ということだ。そして「譲れるライン」は大規模イベント自粛と一斉休校。「譲れないライン」は企業活動の全面的停止。

この点について政府内で意思統一がきっちりとできていなかったから、萩生田文科大臣が一斉休校について「学校を閉め、子供たちを守りたい」などと発言してしまった。

子供たちを守るのであれば、通常の学級閉鎖基準で十分だ。感染した子供がいない学校まで閉鎖する必要はない。しかし、爆発的な感染増加を抑えるためには、日本の総人口の約1割強にあたる約1400万人の小中高生の活動を一斉に抑制する必要がある。

一斉休校の理由は、「子供たちを守るため」というよりも、日本全国で新型コロナウイルス感染者の爆発的増加を抑えるため、すなわち社会防衛のためだと言うべきだった。

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政府は「要請」ではなく「命令」を出せ >

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