2020年02月19日 公開
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2020年に入り、緊張を高めるアメリカとイランの外交関係。一時の危機は脱出したかに思われたが、共同通信特別編集委員を務める杉田弘毅氏は、両国は再び衝突する危険性がある、という。
大統領選挙を控えたトランプ氏が目論む「次の一手」とは。緊迫する中東に自衛隊を派遣した日本への影響はいかに。
本稿は月刊誌『Voice』2020年3月号、杉田弘毅氏の「米・イランは再び衝突する」より一部抜粋・編集したものです。
イラン、北朝鮮、中国という米外交の3課題の展開は、今年の大統領選をにらんで緊張した動きが続きそうだ。
再選を狙うトランプ氏は、党内をまとめられない民主党候補が対抗馬となる有利な展開であれば、安全運転の外交に推移する。だが、民主党候補に勢いが出てトランプ氏が不利となれば、賭けに出ざるをえない。
再選に失敗すれば、数々の疑惑で民間人として刑事責任を追及される恐れがあるから、再選は文字どおり、トランプ氏にとって死活問題である。
第二次世界大戦のフランクリン・ルーズベルト、冷戦のアイゼンハワー、イラク戦争のブッシュなど、軍事的な有事の際には、それまでの厭戦観を捨てて米国民は大統領の下に団結する。
戦争の危機は現職大統領に有利であることをトランプ氏はよく知っているはずだ。北朝鮮の金正恩委員長はトランプ氏と良好な関係を築いているから、トランプ氏の再選を期待しているに違いない。
中国も長期の交渉でようやく第一段階の合意に達したことから、再選後のトランプ氏との交渉継続を狙っているだろう。
更新:11月21日 00:05