2020年01月14日 公開
2020年01月16日 更新
新聞や論壇誌、評論家のあいだでは、早くも2020年のアメリカ大統領選挙で「トランプ勝利」との見方がある。だが毎日、現地の世論調査や選挙動向を精査し続ける渡瀬裕哉氏は「現時点で明言すること自体がすでに噓」と語る。最新のアメリカ民主党・共和党のパワーバランスを追う。
※本稿は、渡瀬裕哉著『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)より一部抜粋・編集したものです。
2020年大統領選挙まで約1年の月日があるが、直近の世論調査や政治情勢を分析してみると、世界がどんでん返しに直面する可能性が示唆されている。
そのどんでん返しとは、2020年大統領選挙・上下両院議会議員でトランプ大統領および共和党が敗北し、民主党大統領・民主党上院・民主党下院(トリプルブルー政権)が誕生するというものだ。
2016年・2018年にはあり得なかったことが起きようとしているのだ。
各種報道の中には「トランプ大統領の再選確実」の報道を見かけるが、それは幾つかの重要な条件を前提としており、現在の選挙情勢の現実を必ずしも反映したものとは言えない。
選挙戦は「候補者の質」だけでなく「組織力」によっても大きく左右されている。その組織力の観点から見た場合、共和党は問題を抱えており、民主党は勢いが増している状況がある。
トランプ大統領の全米支持率は40~45%で安定しており、共和党支持者からの支持率は80~90%と一見して歴代大統領と遜色のない数字を出しているように見える。
しかし、トランプ大統領に対する共和党支持者からの支持は、詳細を見ると積極支持・消極支持の2つに割れている。
トランプ大統領の求心力は、一部の支持者に強烈に働くだけのものでしかなく、共和党全体の組織力を活性化させるものではない。
実際、全米屈指の富豪であるコーク家からの支援は失われており、その資金力に支えられた有名な草の根団体などの活動も最近ではあまり目立たなくなっている。
更新:11月21日 00:05