孤独な”疑似親子”が見た夢――映画『コンプリシティ』藤竜也インタビュー

誰と見るかで目の前の景色は変わる

蕎麦職人の弘（右、藤竜也さん）と中国人の青年リャン（ルー・ユーライさん）©2018 CREATPS / Mystigri Pictures

――本作では、蕎麦畑が広がる大石田町（山形県）のロケーションも圧巻でした。

【藤】　あのとき、僕は生まれて初めて蕎麦の花を見ましたが、とても綺麗でした。

物語では、弘がリャンを蕎麦畑に連れていって、近所のおじさんと立ち話をしますよね。おじさんが「あれ、息子さん？」と言うと、弘は嬉しそうな表情を浮かべる。

弘にとって蕎麦畑は特別な地ではなく、日ごろから足を運ぶ場所です。しかしあの場面では、自分に喜びを与えてくれた青年と見ることで、特別な景色となるわけです。

同じ場所でも、恋人と見る風景は特段美しく感じるでしょう？　目の前に広がる光景は同じなのに、誰と一緒にいるかで意味は変わる。だからあのときの弘は、いつもと違ってキラキラしていたんじゃないかな。

『コンプリシティ／優しい共犯』
2020年1月17日（金）より新宿武蔵野館にてロードショー
©2018 CREATPS / Mystigri Pictures

■スタッフ＆キャスト
ルー・ユーライ　藤竜也　赤坂沙世　松本紀保　バオ・リンユ　シェ・リ　ヨン・ジョン　塚原大助　浜谷康幸　石田佳央　堺小春 ／ 占部房子
監督・脚本・編集：近浦啓
主題歌：テレサ・テン「我只在乎ニィ（時の流れに身をまかせ）」（ユニバーサル ミュージック/ＵＳＭジャパン）
製作：クレイテプス　Mystigri Pictures　制作プロダクション：クレイテプス　配給：クロックワークス　
2018／カラー／日本=中国／5.1ch／アメリカン・ビスタ／116分