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母の命と引き換えにいまの自分がある

2019年10月11日 公開
2019年10月11日 更新

舞書家Chad.

舞書家Chad.写真:キムラタカヒロ 取材・文:編集部

その舞いと書きぶりには確かな信念がある―。

踊りながら書道をする「舞書家Chad.」として活動する佐渡仁美さんのことだ。彼女は自らの出生時に母親を亡くした経験から、「たった一つの命を輝いて生きるためのお手伝い」をコンセプトに活動している。

転機が訪れたのは、大学生だった2014年。相手を見て直感で言葉を書く路上詩人に衝撃を受け、自らも路上での活動を開始。

相手を見て感じたことを色と言葉で色紙に即興で書き下ろし、イベントでは舞書パフォーマンスで観客を魅了する。

また、妊婦のお腹にペイントを施し、写真に収めて絵本風のフォトブックにする「マタニティアート」というサービスも行なっている。

「母の命と引き換えにいまの自分がある。出産という『奇跡』を形に残したい」(Chad.さん)と語るまなざしから、並々ならぬ思いを感じた。

今年7月には、パリで開催されたジャパンエキスポ(日本文化の総合博覧会)に出展し、Chad.さんの地元である広島県竹原市の竹や、高知県いの町の土佐和紙を使ってパフォーマンスを披露した。

「作り手の顔が見える地元文化を世界に発信したい」(Chad.さん)。

彼女の本気の信念は、国や言語の壁を越えて心に響くことだろう。

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