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総理の外交スピーチライターが明かす、G20成功の舞台裏

2019年09月11日 公開

谷口智彦(内閣官房参与)

難関に立ち向かうための勢い

あるシカケを初日に置いたのは、いまにして思うに、かかる紛糾を見越してのことだった。デジタル情報(データ)の国際管理をめぐる協議を大いに始めようと打ち上げた、一種の決起集会である。

安倍総理を真ん中に、トランプ大統領、習近平中国国家主席が肘と肘の擦れ合うほど近くに座り、首脳たち皆が窮屈を忍んで写真に収まった会議のことだ。会場の設営がいかにも安普請だったなど、とかく好奇の目を呼んだことを記憶する向きがあろう。

あれが施設内に設けることができた精一杯だったことはともかくとして、むしろ関係者をもっと詰め込んで、急拵えの会場を、いっそのこと立錐の余地がなくなるくらいにする案があったと仄聞する。

その場合、一種の奇観として歴史に残っただろうから、実現しなかったことを惜しみたい気がしないでもない。

要はそこまでして、初日に熱気をつくっておきたかった。難関が立ちはだかるだろうことを踏まえ、ここでの勢いを突破力にしたかったものと想像する。

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