2019年05月04日 公開
2020年07月21日 更新
なぜそこまでして、シリコンバレーにこだわるのか、疑問に思われる方もいるかもしれません。
そもそも、シリコンバレーは多くの日本人がイメージするほど「キラキラ」したところではありません。道は汚くてガタガタ。いまだに電柱ではなく木柱。街中にも電波の届かないところがある。車がないと、どこにも行けない。通勤・帰宅ラッシュ時は大渋滞……。
しかも異常に物価が高く、家賃も高騰しています。先日、家探しをしたときは非常に苦労しました。
少なくともインフラ面についていえば、日本は世界中で飛び抜けて整っている。それでも、私はシリコンバレーで働き続けることを選択しています。
日本と比べた際、シリコンバレーの優位点としてよく挙げられるのは「企業の資金力とスピード感」です。ただ、そうした会社の経営目線ではなく、実際に働く一労働者として感じていることから、述べていきたいと思います。
私がシリコンバレーで働く理由は、「やりたいことへの近道」「人材」そして「ワクワクする」の3点です。
怪我をしてプロ・サッカー選手になることを諦めたあとも、いずれ何らかの形でサッカーに関わりたいと思っていました。指導者になろうと考えた時期もありましたが、収入を考えると難しく、違う道へ進むことにしたのです。
プロ・サッカー選手という1つのことを極められなかったぶん、少しでも幅を広げようと日々努力してきました。
私がまず考えたのは、効率よくお金を稼ぐことなのですが、後述するように、それが結果的に「やりたいことへの近道」につながった気がしています。
実際、シリコンバレーで働く人の賃金はどうなのか。たとえば、米グーグルの平均賃金は19万1000ドル。これに加えて毎年約10万ドル分の株がもらえます。(https://www.paysa.com/blog/facebook-vs-google-who-pays-more/)。
仮に私が日本に帰り、いましているのと同じ仕事をした場合、年収は600万円程度だと予想できます。私自身の給与は、会社との契約上明記できませんが、仮に3000万円とすると、約5倍の開きがあることになります。
だからといって、夜遅くまで働いているかといえば、そうではありません。毎朝8時ごろ出社して、4時半には会社を出ます。
同じ仕事をしていても(場合によっては、日本企業のほうが深夜まで残業していることが多いのに)、なぜこれだけ給与の差が出るのでしょうか。こう問うと、国力の違いを挙げる方が多くいます。
しかし、アメリカの人口は日本の2.5倍にすぎません。同じ仕事をしていても給与で5倍の開きが出るほど、国力において日米の差があるとは思えません。
じつは、もっとも大きな違いは「市場の大きさ」です。「シリコンバレー」という箔がついたソフトウェアは、世界中で売れます。
一方、日本でつくったソフトウェアは、ほとんど日本でしか売れません。市場の大きさが圧倒的に違うのです。
たとえば、同じソフトウェアを日本とアメリカで開発したとしましょう(話を簡素化するため、税など他の要素は無視して考えます)。
日本製品が日本市場で1000万円分売れるとしたら、シリコンバレー製品は世界から買ってもらえるので、その10倍の1億円分は売れるでしょう。この違いがエンジニアの年収格差を生むのです。
更新:11月24日 00:05