2018年12月11日 公開
2018年12月18日 更新
第4次産業革命における三種の神器は、IoT、ビッグデータ、AI(人工知能)である。
最初に、第1の神器IoTの意義について述べる。
インターネットにおいて産業的に最も影響が大きかったのは、ワールドワイドウェブと呼ばれる仕組みだ。この仕組みは、ジュネーブの高エネルギー加速器研究機関(CERN)のデータ管理者だったティム・バーナーズ・リーが発明した。
素粒子物理学者が研究データを共有するためのシステムで、きわめてシンプルな4つの要素からできている。HTML(記述言語)、ウェブサーバー、そしてウェブブラウザ(閲覧ソフト)、HTTP(送受信ソフト)である。
ウェブ画面をクリックすると、リクエストが飛んで、レスポンスとしてほしい情報が返ってくる。こんなシンプルなやり方でも、ビジネスに与えた影響は非常に大きかった。
情報発信源でネットビジネスの進化を見ると、第1世代は、サービス事業者が情報提供をする「ポータル型」(玄関口)で、アマゾン、ヤフー、グーグルなどだ。
第2世代は、利用者が情報発信する「SNS型」で、フェイスブックやツイッターなどである。
第3世代は、モノが情報発信する「IoT型」だ。第1・第2世代では、対象は人間で、英語と中国語が圧倒的に有利だが、「IoT型」では言語障壁がなく日本にとってのハンディキャップはなくなる。
第二の神器ビッグデータの起源は、2001年にダグ・レイニーが、「量」「頻度」「種類」の3つが大きいデータを「ビッグデータ」と定義したことである。
統計学的には、要約統計ではなく誘導統計に当たる新たな非構造化データを対象とするものだ。これが2012年にブームとなるが、当時のSNSデータ分析に多用された想定とは異なり、IoTによるインパクトが大きいことが最近になってわかってきた。
第3の神器AIは、ジェフリー・ヒントンによるディープ・ラーニング(深層学習)の発明に起因する。AIが真に役立つことがわかったのは最近のことで、第3次AIブームと呼ばれる。
これは、ニューラルネットワークという脳の神経系モデルを多層化して、機械学習を繰り返すことで精度を上げていく、教師がいなくても賢くなるモデルだ。
従来は、人間がAIに判断基準を教える必要があったが、現在はチェス、将棋、囲碁の世界チャンピオンよりもAIが強くなった。ルールベースの単純作業がAIに置き換えられることは、時間の問題である。
更新:11月24日 00:05