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LGBTを政争の具にする「保守」と「リベラル」

2018年09月04日 公開
2022年07月08日 更新

村田晃嗣(同志社大学法学部教授)

アメリカでLGBTは政治の主体

来るべき11月の米中間選挙では、男性から女性に転換したトランスジェンダーがバーモント州で民主党の知事候補に決まった。今回の選挙では、女性候補の数が史上最多になったが(州知事候補だけで11人)、LGBTの候補者もすでに400人を超えている。

また、すでにオレゴン州知事はバイセクシャルを自認している。LGBTを公言する公職者の数は、550人を超える(それでも、全体の0.1%程度)。

つまり、アメリカではLGBTが政治のアクター(主体)となりつつあるが、日本では依然として政争の具にとどまっている感が強い。

また、一部の週刊誌も杉田批判を展開しているようだが、有名人のプライバシーを詮索して、「ホモ疑惑」などと煽情的な記事を連発し、LGBTへの差別と偏見を助長してきた張本人は、彼ら週刊誌である。

報道の自由を盾に取った、のぞき見趣味にほかならない。そもそも、「疑惑」とは不正を前提にした表現であろう。

このように、LGBTをめぐる言説は、さまざまなアクターの偽善性を浮き彫りにしてくれる。

(本稿は『Voice』2018年10月号、村田晃嗣氏の「LGBTを政争の具にするな」を一部抜粋、編集したものです)

著者紹介

村田晃嗣(むらた・こうじ)

同志社大学法学部教授

1964年、兵庫県生まれ。同志社大学法学部卒業。98年、神戸大学博士(政治学)。99年、『大統領の挫折』(有斐閣、1998年)でサントリー学芸賞、2000年、『戦後日本外交史』(共著、有斐閣、1999年)で吉田茂賞を受賞。13年4月から16年3月まで同志社大学学長を歴任し、現職。著書に『レーガン』(中公新書、2011年)など。


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