2018年04月18日 公開
2022年10月27日 更新
(ムーギー・キム)
以上では、『最強の生産革命 時代遅れのルールに縛られない38の教訓』から、官僚組織の問題点に関して論じられている部分を一部抜粋して紹介した。
ところで私は重ね重ね立派な官僚の皆さんがたくさんいらっしゃるのは知っているし、めったやたらな批判はできない。
ただそんな優秀な官僚の皆さんと「なぜ官僚組織は官僚的なのか」という議論をしていると必ず指摘される弊害が、
「一度省庁に入ったら、他の省庁に移れないので、省庁の権益確保が至上命題になってしまう」という悲しい二流な時代遅れの人事システムである。
とある上級官僚に今後の組織改革の方向性を聴いたら、「もっと官僚も民間に出て、相互に中途採用の交流をはかるべき」だというし、他の省庁へのキャリアパスを用意することの大切さを語っておられた。
確かに、今時どこの民間企業でも終身雇用は崩壊しているのに、官庁だけ「一度入ったらその省庁で一生出世を目指す」というコースしかなければ、どうなるだろうか?
国や社会のための全体最適ではなく、所属する省庁の利益の最大化と、そこでの出世という、「極めて視野の狭いキャリアパス」しか描けない。
そうすると、「出世の鍵を握る官邸を忖度することでしか上に登れない二流の官僚」が、官邸ズブズブ官僚として、政官のもたれあいを強めることは避けられないのである。
そういえば私の友人も某省庁での官僚歴が長いが、「なぜこの人が」という尊敬できない人に限って出世していくのがいたたまれない、と語っていたものである。
「官僚の無謬(むびゅう)性」への拘泥(こうでい)が問題視されて久しい。
よくコーポレートガバナンスの改革をなどと政官が唱えているが、まずその前に、自分の組織のガバナンス改革から始めなければならないのは、一連の官僚不祥事が次期首相に課した最大の課題の一つなのである。
更新:11月23日 00:05