2017年11月10日 公開
2024年12月16日 更新
今回の総選挙は、北朝鮮対応といういわば「有事解散」であった。これは安全保障と言い換えてもいい。
小泉政権のときに、小泉首相が北朝鮮を訪問し、拉致問題を北朝鮮が認めて謝罪した。これがうまく行なえたのは、米国ブッシュ政権が北朝鮮に圧力をかけていて、北朝鮮が日本の拉致問題を持ち出し、アメリカからの圧力を避けたかったからだ。同時に、北朝鮮は日本との国交正常化で経済協力を求めていたという事情がある。
いまの北朝鮮問題に当てはめれば、11月の日米首脳会談、米中首脳会談がある。また、APEC(アジア太平洋経済協力)での各国首脳会談にはロシアも出てくるだろう。それらの国際会議では北朝鮮問題が話し合われる。これらが、北朝鮮版「ヤルタ会談」ともいうべきものだ。そうした国際舞台の裏で、日本と北朝鮮との和解交渉という可能性がないわけではない。
いずれにしても、トランプ米大統領、習中国国家主席、プーチン露大統領などと互角に渡り合えるために、どのような準備を日本のリーダーがすべきか。まさに日本の国家としての命運が懸かっている。
経済としては、デフレを完全に脱却する必要がある。そして、早く完全雇用の状態をつくらなければならない。実のところ、インフレ目標2%、失業率2%台半ばを達成するためには、有効需要であと25兆円ほど必要である。そのために、来年の通常国会の冒頭で、大型補正が必要である。
その補正が試金石となるだろうが、増税するが、財政緊縮しないようにそれを社会保障や教育に使っていくというスタンスだろう、と筆者はんでいる。それが、既得権を対象にして保守とリベラル政策を実行する自民党の経済運営である。
(本記事は『Voice』2017年12月号、髙橋洋一氏の「北朝鮮版ヤルタ会談へ」を一部、抜粋したものです。全文は現在発売中の12月号をご覧ください)
更新:12月22日 00:05