Voice » ケント・ギルバート 「愛国心」を武器に戦う日本人
2017年08月06日 公開
2023年02月01日 更新
東京都議選の自民党大敗後、安倍内閣に対する支持率が低下しています。ただ、政党支持率をみてみると、自民党への支持率は3割前後であるのに対し、民進党をはじめとする野党4党の支持率は、すべて一桁台というさらなる超低空飛行。政権与党への批判票の受け皿にまったくなっておらず、もはや存在意義そのものが問われる状況です。日本国民は民主党政権(当時)の失敗に懲りて、安易な政権交代がプラスにならないことを、身に染みて知っているのでしょう。
それにしても、日本メディアの情報操作は悪質さを増していると思います。森友学園や加計学園の問題など、あらゆる手段で安倍政権への攻撃を続けています。その一方で、沖縄の反米軍基地運動家の違法行為や暴力性については、けっして報道しようとしません。
さらに左派団体は「国連」の権威を利用して日本を貶める行為を繰り返していますが、一部のメディアはそれに同調するような動きをみせています。
このような卑劣なカラクリは、前衆議院議員の杉田水脈さんやキャスターの我那覇真子さん、テキサス親父日本事務局の藤木俊一さんたちのおかげで暴露されつつあります。私はその活躍を「「Grass Roots Patriots(草の根の愛国者たち)」の闘いとして高く評価しています。
間もなく発売される『ついに「愛国心」のタブーから解き放たれる日本人』(PHP新書)にも詳しく書きましたが、「Grass Roots Patriots」とは、「普段は在野にあって市民生活を営んでいるが、いったん国家危急のときには、国家への忠誠心に基づいて国を守るための行動に出る人」のことを指します。
アメリカの建国にあたっては、「Grass Roots Patriots」たる開拓民たちの活躍が、必要不可欠でした。自由を求めて新天地に移り住んだにもかかわらず、重税を課そうとしてきたイギリスの圧政にあらがうことができたのも、この開拓精神のなせる業でした。自らの理想と信念を掲げて独立戦争を戦ったアメリカの開拓者の多くが、激しい戦闘で命を落としました。彼らはイギリス軍に対して徹底的なゲリラ戦で対抗しました。当時の戦闘は、統一された制服を着た両軍が一列に並んで向かい合い、大砲や銃を撃ち合い、最後には銃剣で殺し合うものでしたが、アメリカ開拓民たちは、森林の中の茂みに隠れてイギリス軍に接近し、一気に攻撃しては、また森の中に消え去るような戦術を用いました。ある面では、そのような力を結集させることで、アメリカ合衆国ができあがってきたといっても過言ではありません。
一方、日本の明治維新のときにも、「Grass Roots Patriots」が数多く活躍しました。日本では「草莽」という言葉を用いるようです。有名な坂本龍馬や吉田松陰などは、「草莽の志士」とも呼ばれます。
初めて聞いたときには難しい言葉だと感じましたが、これを「Grass Roots Patriots」と訳してみると、ピンとくるものがありました。私にはその姿が、イギリスの圧政からアメリカを独立に導いた、在野の勇気あるアメリカ開拓民たちと重なって見えたのです。日米両国の意外な共通点でした。
幕末の日本人は、西欧列強が世界中を植民地にしていることをよく知っていました。もちろん、イギリスが理不尽なアヘン戦争を中国(当時は清王朝)に仕掛けて勝利し、香港などを手に入れたことも熟知していました。着実に日本に迫り来る脅威に対してどうするべきか。そのことを、日本の多くの「草莽」たちも考えていたわけです。
しかし、当時の徳川幕府は完全な官僚気質になってしまい、組織が硬直化していて、素早い意思決定もできなければ責任も取らない。内輪の権力争いばかりで、危機感すら欠如しているといった状態でした(かつての民主党政権時代の話ではありせん。幕末ごろの話です)。
こういう体たらくを見て我慢ならなかった人たちが立ち上がり、なんとか草莽の力で外国勢力を打ち払おうという意識を持ち始めたわけです。対抗策を必死で考え、それを学問的に研究し、実際に行動に移した当時の日本人は、とにかく凄いと思います。
(本記事は『Voice』2017年9月号、ケント・ギルバート氏の「『愛国心』を武器に戦う日本人」を一部、抜粋したものです。全文は8月9日発売の9月号をご覧ください)
更新:11月16日 00:05