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コロナ対策サイトの開発者が痛感した「国と地方の関係の難しさ」

2021年01月17日 公開
2022年10月24日 更新

関治之(一般社団法人コード・フォー・ジャパン代表理事)

関治之氏

台湾でデジタル担当大臣を務めるオードリー・タン氏は、近隣店舗のマスク在庫を把握できる「マスクマップ」の開発を主導したことで世界的評価を得た。

一方で日本でも、デジタルの力でコロナに向き合う動きがある。一般社団法人コード・フォー・ジャパンは2020年3月、東京都「新型コロナウイルス感染症対策サイト」を開発し、本サイトは「2020年度グッドデザイン金賞」を受賞した。

コード・フォー・ジャパンの代表理事を務めるシビックハッカーの関治之氏が、日本に求められるデジタル化の取り組みとフォロワーシップについて提言する。(聞き手:Voice編集部・中西史也)

※本稿は『Voice』2021年2⽉号より⼀部抜粋・編集したものです。

 

現場と共に進めるデジタル改革を

――関さんは2020年11月、政府CIO(最高情報責任者)補佐官に就任しました。地方自治体だけではなく、国との協働も進めているのはなぜでしょう。

【関】僕は2016年から神戸市のチーフ・イノベーション・オフィサーを務めているのですが、地方自治体と市民だけではなく、地方と国との関係の難しさも痛感しました。

国が出す大きな方針と地方の要望が折り合わず、コミュニケーションがうまくいかない場合もある。両者の風通しを良くするために、まずは国側の視点を知ろうと思ったのです。

これまでも有識者として政府の政策には関わってきましたが、内部に入らないとわからない部分もあるでしょう。だから公募である政府CIO補佐官に応募して、国の仕事に参加することにしました。

――菅政権は、各省庁にまたがるデジタル化の取り組みを一元化するための「デジタル庁」創設を掲げています。この動きをどう見ますか。

【関】とても期待しています。僕自身も以前から、横断的にIT政策の権限をもつ組織の必要性を訴えてきました。そのうえで重要なのは、国がトップダウンで地方自治体や民間企業に要望を押しつけるのではなく、フラットに意見を集めて声を拾っていくことです。

本当に必要なデジタル改革について、現場と共にコミュニケーションを重ねて進めていく態勢をとってもらいたいですね。

――500人規模で発足する予定のデジタル庁には、100人超の民間IT人材を登用するとのことです。関さんが関わる可能性もあるのでは?

【関】現在(2020年12月中旬)は法案を詰めている段階ですし、とくにそのような動きはありません。もし手伝えることがあれば尽力しますが、まずは政府CIO補佐官の仕事に集中したいと思います。

――コード・フォー・ジャパンは2017年10月の衆議院議員総選挙に際して、候補者の政策や過去の実績を中立的に参照できるデータベースを作成しました。2021年10月までのどこかで次の衆院選が行なわれますが、再びサイトをつくる予定はありますか。

【関】そのつもりです。そもそも選挙のときだけではなく、議員のデータベースに常時アクセスできる仕組みを構築したいと考えています。海外ではそうしたオープンデータがあるのですが、日本では個々のデータがバラバラになっている。

とくに略歴などの事実関係は公開して、随時アップデートできるほうが良いでしょう。そのほかの解釈が分かれる政策の部分は、メディアの独自取材に基づいてカバーしていく。

情報が錯綜したり、検索に時間を浪費したりしないためにも、メディアとの連携も進めていくつもりです。ぜひ『Voice』さんも協力してください(笑)。

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