Voice » 経済・経営 » 日本が「科学技術立国」として甦るためにすべきこと

日本が「科学技術立国」として甦るためにすべきこと

2020年12月16日 公開
2023年01月18日 更新

安宅和人(慶應義塾大学環境情報学部教授・ヤフー株式会社CSO)

デジタル空間

かつては「科学技術立国」と謳われた日本だが、現在は中国やインドに後れを取っている――。そう警鐘を鳴らすのは、慶応義塾大学環境情報学部教授でヤフー株式会社CSOの安宅和人氏だ。菅政権が進めるデジタル化の礎となるのが科学技術であり、日本再生の根幹であるという。産官学のストラテジストが、我が国が甦るための策を語る。

※本稿は『Voice』2021年1月号より一部抜粋・編集したものです。

聞き手:Voice編集部(中西史也)

 

中国やインドの後塵を拝している

――新型コロナの教訓やデジタル庁の創設により、官民のデジタル化は進展していくでしょうか。

【安宅】そう思います。が、実際に適切な運用形態が確立するには5年から10年は要するでしょう。柔軟でスピーディな変革が起こしづらいのは、デジタル分野にかぎらず日本が抱えている大きな課題です。

さらにいえば、日本はデジタル化の源となる科学技術の分野において、かつては「科学技術立国」と謳っていたものの、いまでは中国やインドの後塵を拝しています。

2018年1月に全米科学財団(NSF)が発表した報告書によれば、中国の科学技術の論文発表数が初めてアメリカを抜いて世界首位になりました。インドは中国、アメリカに次ぐ3位で、日本はといえば6位に甘んじている。

人口規模の問題はあるとはいえ、前回(2016年発表)の3位から順位を落としており、論文数そのものが減少傾向にある。科学技術の重要性がいっそう増しているにもかかわらず、同分野に十分な投資がなされていないのは由々しき事態です。

2025年、そして2030年には、我々が「空を飛ぶ」議論をしているあいだに、中国やインドが「宇宙に行っている」状況に陥っても不思議ではない。世界との差がこれ以上広がることは、何としても防がなければなりません。

次のページ
「掛け算の学問」でイノベーションを生め >

Voice 購入

2024年3月号

Voice 2024年3月号

発売日:未定
価格(税込):880円

×