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若手男性官僚の7人に1人が「数年以内に辞職したい」のはなぜか

2020年09月11日 公開
2024年12月16日 更新

松井孝治(慶應義塾大学総合政策学部教授)

「統治機構改革推進会議」を創設せよ

しかし、このウィズ・コロナと呼ばれる時代、戦後の米国基軸の安全保障の枠組みも大きく変化せざるをえないし、超少子高齢の人口減少社会を脆弱な財政基盤でいかに乗り切るか、開かれた国際関係に依存して発展してきた我が国がいかにその経済活力を維持するかなど、日本社会の総力を挙げて政策を磨き上げなければならない。

針の穴を通すような政策パッケージをつくり上げ、国民の理解を得る道は険しい。官僚たちを不毛な国会対応などに酷使している余裕は我が国にはない。こうした時代に相応しく、最優秀の政策立案の知恵を結集する仕組みを我が国はつくらなければならないのである。

それを実現するには、現状の内閣、国会、そして地方自治体からなる公共政策の立案、執行体制、政策分析・決定の仕組みを文字どおり換骨奪胎せねばならない。

各省庁縦割り、自治体間の連携もない情報システムを刷新し、国会と内閣の関係を改め、旧式の公務員組織・人事を、社会の叡智を集めるようにつくり直し、国と自治体の三層構造を見直さなければならないのではなかろうか。

この事業は、一内閣の知恵やエネルギーでできるものではない。

内閣の中の行政資源の再配分のみならず、地方の統治構造、国と地方の関係、民間における政策資源の結集の在り方、国と地方、民間や幅広い公共セクターの情報システムの再構築などは、恐らくは数政権をまたいで自治体関係者や民間経済界、医療社会福祉関係者、教育関係者などと擦り合わせをしながら取り組まなければならない課題である。

こうした国家的事業を推進するにあたり、私は、各界の代表者や学識経験者から構成され、統治機構改革について集中的に議論し、提言する「統治機構改革推進会議」を設置してはどうかと考える。

1992年、宮沢喜一内閣当時に結成された「政治改革推進協議会(民間政治臨調)」は、その後の諸内閣での政治改革の基調をつくるとともに、平成期の地方分権の機運の醸成にも大きな役割を果たし、さらにその後改組されて発足した「新しい日本をつくる国民会議(21世紀臨調)」は、一時期二大政党制に向けての流れを形成した。

コロナ危機を契機に政官民学が結集し、令和の統治機構改革に向けて動き出すべきときは今である。

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