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生命の起源は「炭素」をみつめると見えてくる

2020年07月13日 公開
2023年01月18日 更新

ロバート・ヘイゼン(鉱物学者)

ロバート・ヘイゼン

進化の在り方が変わる

――近年、地球にそっくりな惑星がいくつも発見されていますが、人間が住める惑星はみつかっていますか。

【ヘイゼン】いわゆるハビタブルゾーン(生存可能圏)のなかに複数の惑星が発見されています。ハビタブルゾーンにある惑星は、太陽熱放射によって温度を維持し、液体の存在が確認できます。

それらの惑星は、地球から20~30光年ほど離れた場所にあり、現在は渡航できませんが、新しい推進システムを開発すれば、大きな宇宙船に多くの人びとを載せて、数世代にかけての移住が可能になるでしょう。まるでSFの世界ですね。

――米国の生物学者であるリン・マーギュリスは、ヒトのもつDNAに、周りと協力し助け合うことがプログラムされていると唱えていますね。

【ヘイゼン】彼女は、生命体が共生関係を形成することで、生き延び、進化していることに気づきました。人間は「人類、動物、昆虫、植物」と生物をカテゴリーに分類しようとしますが、実際、木は「木」それだけで成り立っているのではありません。土や空気、水を必要とします。つまり、どの生命体をとっても、エコシステム全体から分離して生きることはできません。

彼女の発想は私に深く影響を与えました。私の研究は、地球圏がいかにして共生進化をしてきたかを検証することです。鉱物は生命の起源につながっていますが、生命は新しい鉱物の起源につながる。生物学と地理学は切り離せない関係にあるのです。一つの面しかみないでいると、全容の理解はできません。彼女はこの発想を明確にしました。

――単細胞生物は25億年も安定して生存していたにもかかわらず、多細胞生物になり、動物や人間へと進化しました。仮に、人間が進化の最終形であった場合、身体的な進化をし終えたために、身体の外に目を向けて、技術の発展に手をつけたのでしょうか。

【ヘイゼン】それは非常に注目すべき点です。(適者生存を唱えた)ダーウィンの進化論よりも、はるかに進化を加速させる方法は、遺伝子をデザインすることです。すでに癌治療において遺伝子治療が行なわれていますが、人はより長く生存できるように「進化の方法」を変えています。

これは、惑星の「進化の方法」を変える手段でもあるのです。本質的にみると、この事実は、自然進化よりも、インテリジェント・デザイン(「知性ある何か」によって生命や宇宙が設計されたという説)が支配的になった証であり、見えざる神ではなく、人間の手によって生命がデザインされているのです。

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