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コロナ禍の中… 『パラサイト』監督への“厚遇”で反感を買った文大統領

2020年04月18日 公開
2021年07月12日 更新

金敬哲(ジャーナリスト)

国民を失望させた「所得主導成長」

しかし皮肉なことに、その過程で中産階級が崩壊した韓国社会は、二極化と所得の不平等がさらに深刻化してしまった。

この格差や不平等は時間とともにさらに深刻化し、固定化されるようになった。現在では、富と貧困が世代を超えて継承される「新世襲社会」となりつつある。すなわち、機会の不平等が深まり、いくら努力しても這い上がれない社会になってしまったのだ。

2017年5月、「機会は均等、過程は公正、結果は正義」というスローガンを掲げた文在寅政権が発足すると、社会に蔓延している格差や不平等の改善に対する期待感が高まった。

政権発足直後から約半年間も支持率80%を保っていたのは、まさにこのような国民の期待が反映されたものだった。しかし、政権発足から3年近く経った現在、文政権は、経済や外交、南北問題など、何一つ成果を上げられていない。

なかでも、文在寅政権の看板政策である「所得主導成長(貧困層や庶民層の所得を上げることによって消費を拡大させ、景気回復を図る政策)」は、韓国社会の格差をさらに広げた失策だった。

庶民層の所得を上げるために最低賃金を2年で3割近くも引き上げた結果、社員の賃金を支払えなくなった中小零細企業の倒産ラッシュが起こったのだ。それがさらなる就職難を呼ぶ悪循環となった。

景気低迷で投資先を失った流動資金は不動産市場へ流れ込み、史上最高の不動産バブルが発生してしまった。江南などの一等地に不動産を所有している富裕層と、マイホームすらもてない庶民層との資産格差はさらに広がった。

文大統領の側近だった曹国前法相を巡る各種不正疑惑は、文政権に平等と公正を期待していた国民に大きな喪失感を与えた。

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