2020年01月02日 公開
写真:吉田和本
日本の漁業従事者が年々減少していくなか、日本の水産業の未来はどうなっていくか――。日本だけでなく、広い視野で水産業を捉えることが改善につながると提言するのは、人気寿司店「すしざんまい」を展開する喜代村の木村清社長である。その発言の真意を伺った。
※本稿は月刊誌『Voice』2020年1月号、木村清氏の「海賊だって人間だ」より一部抜粋・編集したものです。
聞き手:編集部(中西史也)
――2018年の漁業就業者数は15万2082人と過去最少で、後継者不足が加速しています。木村社長は水産業の未来をどうみていますか。
【木村】 日本が本気で考えなくてはならない問題です。たとえば中国の乗組員には、月5万円ほどの給料でマグロ漁船に乗っている人がいます。
一方で日本人は、遠洋漁業で月100万円ほど稼ぐ人も珍しくない。マグロ漁船に25人ほど乗船するとなると、日本人一人で中国人全員分ほどの人件費がかかってしまう。それで同じ漁獲量だったらどうですか?
――中国人漁船のほうが、圧倒的にコストが安く済みますね。
【木村】 そうでしょう。しかし日本の漁船は、ほとんど日本人の乗組員だけで構成されている。危険なマグロ漁船に乗りたがる人は稀ですから、給料を高く設定する必要があります。
ならば、もっと積極的に外国人を乗組員に入れればいいのです。漁船の経営者や船長は日本人が担えば、船全体の統制はとれるでしょう。
ところが水産庁の役人は、そうした根本的問題にメスを入れようとはせず、補助金をばらまくばかり。
本当の漁業を知らない人たちが政策を決めているんです。資源をリサイクルして永続的に漁業ができる仕組みを確立する必要があります。
更新:11月21日 00:05