2019年10月23日 公開
2023年01月13日 更新
北朝鮮情勢について、スタンフォード大学フーバー研究所リサーチフェローで、アジア地域の安全保障が専門のマイケル・オースリン氏は、北が体制変革以外で核を手放すことはない、と指摘。拉致問題を抱える日朝関係の展望とは。
取材・構成:大野和基(国際ジャーナリスト)
※本稿は『Voice』(2019年11月号)マイケル・オースリン氏の「自衛隊増強で「アジアの終わり」を防げ」より一部抜粋、編集したものです。
――北朝鮮の金正恩氏が核兵器を放棄する気配はまったくありません。北朝鮮は何十年も日本やアメリカを騙し続けて、次々にミサイルを開発してきました。
インドやパキスタンが核保有国であることをわれわれは認めていますが、北朝鮮が核保有国であることを認めることは間違っているのでしょうか。
【オースリン】 もし北朝鮮が核保有国であることを認めると、核不拡散体制をより大きなリスクに晒すことになります。たとえばミャンマーやイランなどの他国が「北朝鮮が核保有国であることを承認するならば、自分たちの核保有も認めてほしい」と言う可能性が出てくる。
現実的には、北朝鮮に核があることを皆知っています。北朝鮮を核保有国と認めないことは筋が通りません。そういう意味で、北朝鮮を「核能力がある国」(nuclear capable state)と呼ぶことはできると思います。
――では、その北朝鮮の能力について他国はどう対応するべきですか。
【オースリン】 北朝鮮をノーマルな核保有国として扱うべきではありません。条約で認められた核保有国は、核の不拡散や廃棄物処理といった国際ルールに従っていることが前提です。ところが北朝鮮は、何十年にもわたって核を他国に拡散しようとしている。拡散をやめるまでは、核保有国であると認めることはできません。
一方で、北朝鮮に対してわれわれは何ができるかについて、真剣に考えなければなりません。核能力がある北朝鮮をいかに封じ込めるのか、それは非核国への対応とどう違うのか、模索する必要があります。
更新:11月22日 00:05