2019年06月17日 公開
2024年12月16日 更新
――まさに決定できる仕組みをつくったわけですね。
【橋下】 もちろん、僕の実行した教育政策のすべてが正しかったというつもりはないし、問題点もあったでしょう。
しかし教育行政の仕組みを変えたことで、数々の改革にチャレンジできるようになり、延々議論して何も決まらないという事態には陥らなくなりました。
最後は首長が決めるという前提があるので、教育委員会側も単純に反対するだけではなく、建設的な議論をしようという意欲が強くなりました。
安倍首相がなぜ強いリーダーシップを発揮できているのかも同じ理屈で、それは安倍政権が決定できる政治行政システムを整備したからです。
2013年にNSC(国家安全保障会議)を設置し、外交・安全保障において外務省・防衛省などを統括した決定ができるようになりました。最後は首相が決定するのです。
2014年には内閣人事局を設置し、幹部官僚の人事を内閣が握る体制を整え、官邸が巨大な霞が関を動かす武器をもちました。
とくに官邸が人事権をもつことには批判もあるでしょうが、これは組織を動かすためには絶対に必要です。あとは濫用にならないような工夫を施すだけ。リーダーシップを発揮するには、それができる組織の仕組みが必要なのです。
中国の習近平国家主席やロシアのプーチン大統領が強力な指導力を発揮しているのも、中国やロシアの政治行政の仕組みがあるからです。もし彼らが議院内閣制を採る成熟した民主主義の国であるこの日本で首相になっても、中国やロシアでのような強権を振るうことはできないでしょう。
いまの日本は、中国やロシアのように非民主主義的な政治行政の仕組みではありませんが、従来よりも「決められる政治行政の仕組み」になりました。
いまの仕組みに多少問題点があるにせよ、従来よりもましなのであれば、いまの仕組みを選択して問題点には対策を講じていくという比較優位の判断をすべきです。
大阪でも松井さんと吉村さんの尽力により、今年6月末にはG20(金融・世界経済に関する首脳会合)が行なわれ、2025年には大阪・関西万博が開催されます。この流れを止めるわけにはいかない。
大阪で都構想を実現して新たな大都市の仕組みを示し、道州制という日本全体の政治行政の仕組みの抜本的改革につなげていってほしいですね。
道州制のアイデアはもう40年近く叫ばれています。あとはそれを実行するのみ。熱意あるエネルギッシュな次世代の政治家の皆さんには、僕の『実行力』を読んで、道州制を実現してほしいです(笑)。
更新:12月21日 00:05