<<老後までに貯金は3,000万円、夫婦なら6,000万円が必要……と言われて不安に駆られる人が多い。一般的な会社員の給料だけで、本当にそんな金額を貯めることができるのか? 大企業が続々と副業を解禁している状況は、老後資金を個人が自力で賄う時代になったことを示している可能性も否定できない。
副業支援を行っている小林昌裕氏は、今後の社会・経済情勢を踏まえて、収入を複線化することの重要性を説いている。本稿では、同氏の著書『サラリーマン副業2.0』より、今の40代の老後に迫る危機を語った一節を紹介する。>>
※本稿は小林昌裕著『サラリーマン副業2.0 人生が好転する「新しい稼ぎ方」』(PHPビジネス新書)より一部抜粋.編集したものです
これからの日本社会では、誰もが副業をするのが当たり前の時代がやってきます。その動きはまだ始まったばかりですが、政府主導で副業が推進されているのが実情です。
2018年は「副業元年」と言われ、今後数年のうちに、この動きは加速していくでしょう。
すでに、ソフトバンクグループ、新生銀行、ユニ.チャーム、ロート製薬、コニカミノルタ、ソニー、花王、三菱自動車といった大企業でも副業を認め始めており、今後幅広い業種.業態へと拡大していくと見られています。
なぜこれほど副業が拡大しているのか。その理由は、現在の日本社会が直面している問題にあります。
すなわち、「少子高齢化」です。
国立社会保障.人口問題研究所が発表した「日本の将来推計人口」(2017年)によると、2015年時点で1億2700万人いた日本の人口は、今の若者が高齢者となる2063年には9000万人を下回り、さらに100年後の2115年には5060万人まで激減すると試算されています。
それほど遠い将来の話でなくても、東京オリンピックが終わった数年後の2024年には3人に1人が65歳以上という「超々高齢化社会」が訪れようとしています。
政治経済や外交問題に関する未来予測というのは、必ずしも当たるものではありません。ただし、少なくとも人口予測に関しては極めて高い精度で的中します。
自身と日本社会の将来を考えるうえで、"人口減少"と"高齢化"は、大前提となるのです。
これは、かつて当たり前だったはずの"昭和型キャリアプラン"が、まもな
く終焉を迎えようとしていることを意味します。
経済産業省の試算によると、「正社員になり定年まで勤めあげる」という生き方をする人は、1950年代生まれでは34%だったのに対し、1980年代生まれでは27%。
「結婚して、出産して、添い遂げる」という生き方をする人は1950年代生まれでは81%いたのに対し、1980年代生まれでは58%にとどまります(次官.若手プロジェクト「不安な個人、立ちすくむ国家」平成
29年5月)。
「夫は定年まで正社員」「妻は子持ちの専業主婦で、一生、夫に添い遂げる」という昭和のモデルケースのような家庭は、もはやごく一部の富裕層に限られると言っていいでしょう。
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「多くの人が予想以上に長生きする」と言える根拠 >
更新:12月04日 00:05