2018年04月18日 公開
2022年10月27日 更新
(冒頭 ムーギー・キム)
さて、最近は安倍首相の3選が危ういだの、どこどこの派閥の領袖(りょうしゅう)が次の首相を決めただの、解散選挙に打って出るだの(何回選挙するのほんとに!)、首相交代論が急速に盛り上がっている。
少し前に若手官僚に省内の雰囲気を聴いたら、佐川氏が証人喚問であそこまで“しらばっくれた”ので、なんだかんだいって山は越えた、安倍首相の3選が既定路線だ、とものの1週間前くらいに聴いたのだが、ここ数日の事態の急展開ぶりには、目を見張るものがある。
中でも財務次官の“しらばっくれぶり”と、“逆に提訴も辞さず”の姿勢は失笑ものであり、“今の政府は信用できない”という世論に火を注いだ気がするが、この「世論とメディアの反応」を読み違えたのは、ここ数年メディア戦略が格段に上達した自民党としては、珍しい大失点であった。
それはさておき、いまさらながら、「首相はだれが、どんなメカニズムで交代させるのか」「財務相はなぜ、政治とズブズブなのか」というメカニズムについて、ここだけのハナシ、よくわかっていない人は多いのではないか。
今回は新刊『最強の生産性革命 時代遅れのルールに縛られない38の教訓』から、政界の内部を知り尽くした竹中平蔵氏にその実態を語っていただこう。
竹中 まず日本では、総理というのは国民に直接選ばれたわけではないんです。国民に選ばれた国会議員が、国民の代表として総理を選ぶ。
では、与党の国会議員はどういう基準で総理を選んでいるかというと、「この人を看板として次の選挙で自分が勝てるかどうか」ということなんです。
キム その人にリーダーシップがあるかどうか、賢いかどうか、といった基準ではないわけですね。
竹中 言い換えるなら、総理を引きずりおろすのは野党ではなく、与党なんです。選挙で勝てないと思ったら、代わりに勝てる人を立てるわけです。
そうすると、総理は引きずりおろされないように、いろいろバランスを考えなきゃいけない。仲間内に足を引っ張られないように。
しかし一方、そもそもリーダーとは何かといえば、組織に新しい変化を持ち込める人のことです。それには当然、リスクがつきまとう。だから総理には、常にリスク管理が求められます。
例えば民間企業でも、社長は副社長や専務にポストを狙われているかもしれません。それに備えたリスク管理が必要でしょ。
そういう観点から見ると、日本の組織はリスク管理にものすごく大きな労力を割かなければいけない。しかし、そこを重視するほど、得てして大きな変革はできなくなるわけです。
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政治家もメディアも官僚に抱き込まれ、革新をはばむ >
更新:11月24日 00:05