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早坂隆 ジョークで斬る国際社会

2018年02月01日 公開
2024年12月16日 更新

早坂隆(ノンフィクション作家)


早坂隆

トランプ米大統領の登場

 ジョークは時代の変遷によって、その形を自在に変えていく。

 現在、「世界のジョーク」の舞台において、堂々の主役の座に君臨するのがアメリカのトランプ大統領。その強烈なキャラクターで一躍、主役の座にまで登り詰めた。前任のオバマ氏と比べても、格段に「いじりがい」のあるキャラである。

 

●ロバ

 ニューヨークのバーで、男が友人と飲んでいた。男が言った。

「トランプなんて野郎は、ただのロバだ!」

 すると友人が言った。

「おいおい、随分と言ってくれるじゃないか。ケンカを売っているのか?」

 男は驚いて答えた。

「これはすまない。君がトランプ支持者だとは知らなかったものだから」

 友人は首を横に振りながら言った。

「そうじゃない。俺はロバが好きなんだ」

 

緊迫化する北朝鮮情勢

 トランプ政権の支持率は概ね30%台後半。歴史的な低水準が続いている。

 大統領選中にヒラリー・クリントン陣営に対して行われたロシアの選挙妨害にトランプ陣営が関与したという「ロシアゲート疑惑」は今も捜査中。疑惑は晴れていない。さらに、ワシントンポスト紙を「国民の敵」、CNNを「ごみジャーナリズム」と表現するなど、メディアとの確執も深まるばかり。もはや遺恨試合の様相である。

 そんなトランプと「どつき漫才」のごとき舌戦を繰り広げているのが北朝鮮の金正恩党委員長。核・ミサイル開発を巡り、国際社会からの孤立の道を歩んでいるが、そんな金正恩体制も当然、ジョークの格好のターゲット。

 

●酒場の風景

 平壌の酒場。3人の男が酒を飲んでいた。

 1人が深いため息をついた。もう1人が目に涙をためた。そんな2人の様子を見たもう1人が言った。

「おいおい。2人とも迂闊だぜ。こんな場所で政治の話なんかするなよ」

 

●攻撃準備

 アメリカ陸軍の参謀総長の息子が、父親に聞いた。

「ねえ、お父さん。オーストラリアを攻撃するには、何発のミサイルが必要?」

 参謀総長は苦笑して答えた。

「オーストラリアだって? そうだな。そんなことは考えたこともないからよくわからないが、おそらく300発から500発は必要なんじゃないかな」

 息子はさらに聞いた。

「じゃあ、イギリスを攻撃するには、何発のミサイルが必要?」

 参謀総長は困った顔をして答えた。

「うーん、なかなか難しいな。たぶん、1000発以上は必要になるんじゃないかな。もしかしたら、2000発くらいは要るかもしれない」

「なるほど」

 息子が続けて聞いた。

「じゃあ、北朝鮮を攻撃するには、何発のミサイルが必要?」

 参謀総長は答えた。

「146発」

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著者紹介

早坂隆(はやさか・たかし)

ノンフィクション作家

1973年、愛知県生まれ。著書に、『昭和十七年の夏 幻の甲子園』(文春文庫)、『世界の日本人ジョーク集』(中公新書ラクレ)、『愛国者がテロリストになった日 安重根の真実』(PHP研究所)、『永田鉄山 昭和陸軍「運命の男」』(文春新書)、『昭和十八年の冬 最後の箱根駅伝』(中央公論新社)、『新・世界の日本人ジョーク集』 (中公新書ラクレ)ほか多数。

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