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清水泰 東京都受動喫煙防止条例の暴走

2017年12月27日 公開
2017年12月27日 更新

清水泰(フリーライター)

健康増進法との基準ギャップも

 さらに決定事項ではないが、健康増進法と都条例の喫煙規制に大きなギャップが生じる可能性が出てきた。

 2017年11月16日配信の『毎日新聞』(WEB版)は、「厚生労働省が受動喫煙対策を強化する健康増進法の改正について、焦点となっている飲食店は店舗面積150平方メートル以下なら喫煙を認める新たな案を検討していることが分かった。当初の30平方メートル以下のバーやスナックに限る案から面積規制を大幅に緩める一方、新規出店や大手資本の店は認めないなどの要件も付ける方向。与党と調整した上で、2020年東京五輪・パラリンピックまでの全面施行を目指し来年の通常国会に法案提出する構えだ」と伝えている。

 真偽のほどは定かではないが、新たな案では店舗面積が150㎡(客席面積は100㎡)以下の大手チェーン店などではない既存の飲食店は、店側の判断で喫煙可にできるという。面積による線引きは「臨時の措置」と位置付けているようだが、見直しの時期は明示していない。東京都の新方針は国の基準よりはるかに厳しくなるわけで、定められる条例の範囲を逸脱している可能性が出てくる。廃業や売り上げ減など過剰な不利益を被る都内の小規模飲食店にとって、このダブルスタンダードは許容できるものではないだろう。

 喫煙規制をめぐるギャップは海外との比較でもある。嫌煙派は欧米の飲食店は店内全面禁煙だから、日本の規制は緩いと主張するが、海外では出入り口付近を除いて屋外で自由に喫煙できる。その事実を伏せたまま「日本の店内分煙を見直せ、法規制を強化せよ」と海外より厳しい基準を迫っているのだ。別の見方をすれば、欧米の屋外喫煙・屋内禁煙も、日本のようにきめ細かく屋内分煙できない彼ら独自のルールといえる。その独自ルールが認められるなら、日本の路上歩行禁煙・屋内分煙も独自のルールとして許容されてしかるべきではないだろうか。

(本稿は『Voice』2018年1月号を抜粋、編集したものです)

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