2017年04月01日 公開
2017年05月13日 更新
――現在(2017年2月6日時点)、朴槿惠大統領は職権停止に追い込まれていますが、韓国の政治をどうご覧になっていますか。
田中 いつものこの国のパターンでしょう。国論が分かれて、つねに分裂と抗争を繰り返してきた歴史がありますから。普通の話し合いができない国なんです。日本に対してはとくに「日本が悪い」の一点張り。盗んだ仏像を返さない、悪いのは日本人だ、という姿勢はその象徴ではないでしょうか。
――このまま韓国で政治の混乱が続くと、仏像の問題は脇に置かれたままになってしまうかもしれません。最終的に仏像は観音寺に返ってくるのでしょうか。
田中 返ってくるでしょう。日本国民も政府もほんとうに怒っているし、韓国政府もさすがに仏像1体で日本といつまでも喧嘩はできないでしょう。そもそも仏像を返さないことで、損をするのは韓国側です。たとえば、日本から韓国を訪れる観光客は年々減っている。一方で、韓国から日本に来る観光客は減るどころか、逆に増えています。対馬にも昨年は26万人もの韓国人観光客が訪れているんです。
――韓流ブームもいまや日本人の記憶から遠のいています。明らかに日本人の対韓国感情は悪化している。対馬の人びとが韓国に対してあまりよい印象をもたなくなったのは、いつからだとお考えですか。
田中 ちょうど仏像を盗まれる前、李明博大統領時代(2008~13年)あたりからだと思います。日本にいろいろとちょっかいを出してくるようになりましたからね。
――2012年8月には、李大統領が竹島に上陸する事件などがありました。とはいえ、韓国と対馬は地理的に近く、感情的な問題はあっても、今後も付き合っていかなければならない存在である、ともいえます。
田中 おそらく対馬の人は有史以前から、朝鮮半島と交易してきた人びとです。そうして富を築いてきた。現在も多くの観光客が朝鮮半島から来ています。韓国の人が来れば、ニコニコしておもてなしをする。それが対馬人です。
――いろいろ思うところはあるけれど、日本人らしく、寛容の精神でグッとこらえて、というわけですか。
田中 それが対馬人の生きる道ですからね。来る者は拒まず、韓国人が好きとか嫌いとか、公には口にしません。対馬の人は、昔から韓国人の性格は知り尽くしています。だから、今度の判決も「やっぱりそうか」と冷静に受け止めている人は少なくない。
――仏像の盗難が起こる前から、韓国との付き合い方は心得ている。
田中 もう遺伝子レベルに組み込まれていますよ。トランプ大統領のように「壁」をつくって日本に来るな、という野暮なことはいわない。そういう品性のないことはしません(笑)。毅然と、粛々とこの問題に対処していく。それが国境に生きる対馬人の生き方なのです。
更新:11月23日 00:05