(Photo: @emilyglickphoto and @k__lazarus)
イスラエル軍によるガザ地区への侵攻は、国内外から非難の声が高まり、停戦を求める運動が広がっています。多くのユダヤ教徒が、人道支援の呼びかけや抗議デモに参加し、ガザの惨状に警鐘を鳴らしています。本稿では長年にわたってパレスチナ支援を行っている活動家サム・スタインさん(@sam_avraham)のこれまでの活動の記録をご紹介します。(訳・編 小林実央)
↑「Free Jerusalem」と 「All That's Left」による集会(Photo:Sam Stein)
――2024年3月15日の記録
2023年12月22日に活動家グループの「Free Jerusalem」と 「All That's Left」は、ガザで殺された3万人の命を悼む集会を開催しました。これは西エルサレムで初めて公にした停戦の呼びかけで、米国総領事館の目の前で行われました。つまり、爆弾を投下しているイスラエル政府と、その資金を提供しているアメリカ政府の両方の目の前で行ったということです。
それからは毎週金曜日には、ガザの虐殺に対する抗議運動を行っています。毎週金曜日、私たちは警察や暴力的な極右の市民から攻撃されています。特に警察は、「虐殺」「殺害」と書かれた看板を引き裂き、活動家を逮捕するようになりました。ある警察官は「殺害をやめろ」というのは「ハマスを擁護するのと同じ」と言いました。
私の看板には「この看板を取り上げても、ガザでは虐殺が行われている」と書かれています。異論を抑え付けても現実は変わりません。戦争を起こしている人々の言葉に耳を傾けるのではなく、良識から考えましょう。殺害された命、そしてガザでいまも苦しんでいる人々の声に耳を傾けることが必要なのです。
↑「この看板を取り上げても、ガザでは虐殺が行われている」
↑「rabbis4ceasefire」によるデモ(Photo: @emilyglickphoto and @k__lazarus)
――2024年4月28日の記録
4月26日、ガザに人道援助を届けるために、「rabbis4ceasefire」(ユダヤ教の宗教的指導者で構成された、停戦を呼び掛ける団体)のデモに参加しました。私が掲げた横断幕には、ハッガーダー(ユダヤ教の伝統行事"過越祭"で読む書物)から引用して、"Let all who are hungry come and eat."「お腹を空かせた人は、皆ここへ来て食べなさい」と書かれています。
かつてラビ(ユダヤ教の宗教的指導者)であったモーシェ・ベン=マイモーン氏は、「求める物には誰にでも、食べ物を与えるように」と語りました。しかし現在のイスラエルは、戦闘員であろうとなかろうと、公然と、ガザ地区の人々を飢餓へと追いやっています。
私は、すべての人の安全と尊厳は守られなければならないと信じています。この主張は、ユダヤ教に反していませんし、ユダヤ人の安全にも繋がっていると思います。
しかし、人道支援を阻止するために何か月も抗議し、パレスチナ人の民族浄化とガザへの再定住を呼びかけるといった行動を裏付ける聖句は存在しない、と言い張ることもできないのが実情です。残念ながら、私を育てたのはその種のユダヤ教です。
こういったユダヤ教が蔓延しないようにする唯一の方法は、いまの事態に正面から取り組むことです。私にできることは、自分が信じるもののために戦い続けること、そしてガザのジェノサイドを支持しないユダヤ教が存在することを、人々に知ってもらう手助けをすることです。
↑「いまこそ和平合意を! 彼らはまだ生きている!」(Photo:Sam Stein)
――2024年5月6日の記録
ヨム・ハショア(ナチスによるユダヤ人の大虐殺を追悼するための日。2024年5月5日~5月6日)に、イスラエル軍は数千人の無実の人々を強制退去させ、ガザを完全に無人地帯化する一歩を踏み出そうとしています。
5月6日、ガザ地区南部ラファへの侵攻に対する抗議運動がエルサレムで開かれました。道路が抗議する人々であふれています。看板には"A deal now! They're still alive!"「いまこそ和平合意を! 彼らはまだ生きている!」と書かれています。
数ヶ月前までなら、このような主張は過激な左翼のものと見なされていたでしょう。しかし、今では主流の考えへと変化してきています。
この変化については推測でしかありませんが、国民はパレスチナの人質たちが国へ帰還すると信じていました。しかし軍が爆撃を始めたことで、人質を家へ帰す気がないことが明らかになったのがきっかけになっていると思います。ようやく国民は、ガザを攻撃してはならないと気付き始めたのです。
↑ラファ空爆に対するデモの様子(Photo:Sam Stein)
更新:12月21日 00:05