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「疑似共産主義政権」だった? ルーズベルト政権の驚くべき実態

渡辺惣樹(日米近現代史研究家)

 

「赤いファーストレディ」と呼ばれた

国務省には、同じく「ヴェノナ文書」でスパイが確定したアルジャー・ヒスがいた。彼は、死期迫るルーズベルトに代わってヤルタ会談の実務を仕切り、ソビエトに日本固有の領土までも分け与える条件で対日戦争参戦を実現した。国際連合設立についても事務方のトップとして活躍した。

ワシントン議会は、活発化する「第五列」運動に苛立っていた。米下院が、彼らの活動の調査を始めたのは1938年のことである(非米活動調査委員会)。39年の調査対象になった団体に米青年議会(AYC)がある。AYCは米青年共産主義者同盟と密接な関係にあった。

調査が始まると、若き共産主義者たちは大挙して委員会室になだれ込み議事妨害を企てた。驚くことに、彼らの先頭にいたのはエレノアFDR大統領夫人であった。

フェミニズム運動をきっかけに共産主義思想に染まり、「赤いファーストレディ」と呼ばれたエレノアの後ろ盾を得た彼らは強気だった。マーチン・ダイズ委員長(共和党:テキサス州)に罵声を浴びせ、共産主義礼賛のビラを撒いた。その1人がジョセフ・ラッシュ(ロシア系ユダヤ人:アメリカ学生連盟書記長)だった。

エレノアはこの男を気に入った(好きになった)。FDR3選を狙う選挙(1940年)では、彼を民主党全国委員会青年部長に推し込んだ。2人の関係を怪しんだ米陸軍情報部はエレノアの監視を始めた。彼女の私信をひそかに開封し、ホテル宿泊時には盗聴した。ラッシュも監視対象だった。陸軍は2人が1943年には愛人関係になったことを確認した。

こうした事実に鑑みれば、ルーズベルト政権は「疑似共産主義政権」であった。日本は実質共産主義国家である米国と戦い敗北したのである。

 

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