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アレックス・ラミレスが若松勉と原辰徳から学んだこと

2017年10月12日 公開
2019年02月15日 更新

アレックス・ラミレス(横浜DeNAベイスターズ監督)

※本記事は『Voice』2017年11月号、アレックス・ラミレス氏の「『夢の球場』で戦い抜く」を一部、抜粋したものです(聞き手:編集部、写真:Shu Tokonami)
 

ロッカールームに鳴り響く陽気な音楽とあふれる選手の笑顔

――シーズン終盤は、阪神タイガースや読売ジャイアンツとCS進出を懸けて熱戦を繰り広げました。緊迫感のある試合が続き、選手が感じるプレッシャーもそうとうなものだったと想像します。

ラミレス 選手は、過酷なペナントレースを最後まで諦めずに戦い抜いてくれた。僕は、シーズン佳境を迎える9月1日に「OUR TIME IS N.O.W.(すべては、この時のために。)」というスローガンを掲げ、チームを鼓舞した。

そのうえで選手には、「われわれは1年を通して安定した成績を残している。ベーシックなことを変える必要はない。もう一段上のプレーを意識すれば、きっと結果はついてくる」とメッセージを送り続けたんだ。

細かい指示を出すと選手に不要なプレッシャーを与えかねない。それよりも首脳陣やスタッフ、そしてファンが一体となって一戦一戦に臨む覚悟を共有してもらいたかったんだ。

それに、日ごろから選手たちにはできるだけリラックスするように薦めている。ロッカールームではいつも大音量で陽気な音楽が掛かっているし、選手同士で冗談を言い合ったりしている。だからどんなにタフな試合が続いても、彼らは平常心でプレーに集中できるんだ。

 

現役当時から続けていた「もし自分が監督だったら」のシミュレーション

――死力を尽くして戦った試合で負けてしまうと、選手はショックを引きずりませんか。

ラミレス たまに試合に負けると、メインゲートではない出入り口から帰宅する選手がいるけど、悪いことをしているわけでもないのだから、何も後ろめたく思うことはない。

われわれは昨シーズン、Aクラスに残った。そのプライドは絶対に失ってはいけないんだ。勝っても負けても、堂々と正面玄関のドアを開けてほしい。そう選手には伝えている。

――日本の「武士道」に通ずる素晴らしい心掛けですね。

ラミレス 僕は現役選手だったころから、引退後はプロ野球の監督になるって真剣に考えていたんだ。

当時、若松勉監督(ヤクルト)や原辰徳監督(巨人)のもとでプレーしながら「自分が監督だったら、この局面でどういう判断を下すか」というシミュレーションを欠かさなかった。

実際に、監督に就いてみると想像以上にうまくいかないことは多いけど、勝っても負けても前を向くという姿勢は、若松監督や原監督から学んで実践できていると思うよ。

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