2017年08月15日 公開
2022年11月02日 更新
※本記事は、日高義樹著『中国がトランプに完全に敗れる6つの理由』(PHP研究所)はじめに より、その一部を抜粋編集したものです。
アメリカの第45代大統領ドナルド・トランプは、私がこの50年間ワシントンで身近に見てきたアメリカ大統領たちのなかで最も楽観的、最も積極的、そして最も強い大統領である。
トランプ大統領を見ていると、建国後まもなくビジネスの機会を求めてアメリカに来たドイツ系移民のイメージが浮かんでくる。幌馬車に乗って大陸を東から西まで横断し、あらゆる場所で商売し、アメリカ原住民に鉄砲やウイスキーまで売りつけた強いアメリカ人たちのイメージである。
私は1980年代、ヨーロッパで毎年行われたアメリカ軍の大演習を取材し、西ドイツ、オランダ、ベルギーなどNATO軍の人々と親しくなったが、その一人が言った言葉をいまでもよく覚えている。
「アメリカ人というのは、自分たちの利益を求めてアメリカに渡り、巨大な富をつくりあげたビジネス人だ」
第45代大統領ドナルド・トランプは、まさにアメリカ人の典型と言っていいだろう。2017年5月、トランプは、強い大統領として名を馳せた第40代レーガン大統領と同じような強力な減税案を議会に提出した。
アメリカ民主党とマスコミはこぞって反対しているが、アメリカの経済を回復させるために多数党の共和党は、このトランプ減税を支持し、何らかの形で成立させなければならない。
トランプ大統領が提出した彼にとっての初めての予算では、向こう10年間で3兆6000億ドルの減税を行うと同時に、オバマ前大統領がこれま4000万のアメリカ人に無定見に供与していた福祉費を大幅に削減する。その代わり、アメリカの安全を守るための国防予算を10パーセント増やす。
トランプ大統領は、強いアメリカをつくろうというアメリカの基本精神に富むアメリカ人らしいアメリカ人であると思うが、アメリカのマスコミは一丸となって彼を批判し、世界中にトランプ大統領の悪いイメージを送り続けている。私が教えたことのあるハーバード大学ケネディスクールのソレンスタイン政治マスコミ研究所は、次のような調査報告を発表した。
「アメリカのテレビネットワークは、1日のニュースの93パーセントをトランプ批判に費やしている。大手新聞も、政治面の87パーセントがトランプ批判で占められている」
アメリカのマスコミは、ほとんどが民主党寄りのリベラルである。そのため、トランプ大統領を引き下ろそうと毎日のようにトランプについて否定的なニュースを送り出している。その結果、日本、中国、ヨーロッパ諸国、そしてアメリカ人自身も、その多くがアメリカ大統領ドナルド・トランプを完全に誤解している。
問題は、世界の現実がこの嵐のように吹きまくるトランプ批判に隠されてしまっていることである。トランプの登場とともに世界の情勢は大きく変わってきている。中国はアメリカの覇権に挑戦する大国になると言われてきたが、いまや経済が破綻してしまった。
トランプの強硬な対中国政策のひと押しで、非人道的な手段で世界を制圧しようとしてきた中国の野望は潰えて、経済的にも軍事的にも凋落の道をたどることは間違いない。
更新:11月22日 00:05